二次創作小説(映像)※倉庫ログ

ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 プロローグ  ( No.59 )
日時: 2012/10/21 19:02
名前: フレア (ID: 94NBGR1U)

とある城で働いていた茶髪の少年はしいんとしている城のテラスで目を覚ました。

ここは……

明らかに様子がおかしかった。
いつもなら大勢の人で賑わっているのに静かすぎる。

これは……!?

城の中へ入ると中の様子は一変していた。
所々に茨が張っている。
その中に人を見つけた。

すいません!これはどういう……!

しかし人は答えなかった。
その人の体は茨と化していたのである。
少年は駆け出した。
自分を受け入れてくれた王と姫の身を案じて……。

トロデ王!ミーティア姫様!!

そういえば、ここ最近に妖しげな道化師が来ていたな……。
少年は敬愛する王と姫の名を叫びながら思った。

きゃぁぁぁぁ!!

悲鳴が聞こえた。
確かあそこは家宝の杖を……。
少年は扉を乱暴に開けた。
その先にいたのは……。

ドル……マゲス……!

少年が見た物は不気味な道化師と家宝を封印してあった魔法陣の上に倒れている白馬と緑色の魔物だった。
道化師の手には家宝の杖があった。

エイト!エイトかっ!?

緑色の魔物は訊いた。

もしや陛下ですか……?
いや、そんなことよりもお前は……!

道化師を睨み付け、背中の槍を抜き一直線に突進した。
しかし……

悲しいなぁ……悲しいなぁ……。
まさか呪いに罹ってない者がいるだなんて。
でもすぐにあの者達と同じ運命にしてあげますよっ!!

道化師は杖を振るって氷呪文を唱えた。

うあぁぁぁぁぁああ!!

部屋に血飛沫が舞う。
少年は倒れた。

悲しいなぁ……悲しいなぁ…………。

道化師は不気味な笑いを残して消えていった。

ドルマゲスぅぅぅぅぅぅぅうっっ!!

少年の叫びが虚しく響いた。






なんで兄ちゃんが……——に!!

少女の叫びが天空に浮かぶ城に響く。
今の言葉は少女と相対している漆黒の竜に放ったものだ。

お主らの父は罪を犯した。何人の人間が死んだと思っている。

竜は少女を見下ろしながら言った。
少女は少し考えてから決意を込めて言った。

……どちらかが——をやらなければいけないと言うのなら、私が、私が——をやります。

おい!正気か!?

後ろから少年の声がし、少女は振り返る。
そこにいたのは見慣れた兄だった。

兄ちゃん……私、決めたの。帰ろうと思えばいつでも帰れるんでしょう?この世界にはもう飽きたしね。
そろそろ新しい世界に旅立ってみても良いかなって。

少女の言ったことは嘘だった。
誰よりもこの世界が好きな少女にとって帰れるとはいえ離れるのは苦痛以外の何でもなかった。

本心で言っているんじゃないんだろう?
——がどれだけ危険か分かっているのか!?
下手したら死ぬんだぞ!?

少年は必死で説得しようと試みる。
しかし、少女は顔色一つ変えずに言った。

兄ちゃん……兄ちゃんは魔族の王としてさ……この世界を守っていってよ……。
だから…………




少女は光の渦の中で目が覚めた。
目には涙が溢れていた。

・・・もうすぐ新しい世界に着くんだ。

少女は目元の涙を拭う。
少女は過去の記憶より幾分か成長していた。

扉が開いていることによって別の世界へ飛ばされている人が大勢いる。
元凶を倒さなきゃ。



時空の守護者として————。



光が今以上に輝き、少女は意識を失った。










少年は城に呪いを掛け、消えていった道化師を倒す決意をする。

少女は時空の守護者……いつ死ぬかも分からない者になると覚悟を決める。

運命は動き出した。

もう誰にも止められない。

この二人の少年と少女がこの世界の運命を変える。

光と闇の軌跡……

これは勇者と魔王が辿った道。