二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第44話 ( No.79 )
- 日時: 2012/10/23 13:03
- 名前: フレア (ID: srAErIwi)
しゅんっ!!
一行は青い光と共に町の前に降り立った。
「私はちょっとこの辺でで魔物倒しているから。君達の足手まといには成りたくないし修行しないと」
「そう。じゃあ気をつけてね」
エイトはそう言ってパルミドに入っていった。
「本当にヤンガスの言う通りじゃな。ここの連中儂の姿を見ても何も言ってこんぞ」
パルミドはボロい建物が並ぶ町であったが、町の人々はみんな明るそうだった。
「俺こういう町嫌いなんだよな……」
「そう?私は活気があって好きだけど」
「流石ゼシカの姉ちゃん!分かってますなぁ」
口々に言う仲間。
そんな彼らの様子にエイトは苦笑した。
「儂は酒場に行ってるからな〜」
トロデは気分上々でミーティアが曳く馬車に乗りながら酒場へ行った。
「僕達は情報屋に行こう」
「情報屋が居る所はこっちでがす」
サフィラは次々と魔物を倒していた。
何回も魔物達に剣を弾かれ、着ているマジカルスカートは魔物達に攻撃されて血がにじみ、ボロボロになっていた。
「そぉらっ!!」
サフィラが剣を振るうと五匹程の魔物が地面にめり込み、そのまま青い光の中に消えていった。
「キキィッ!」
首狩り族は斧を振り回して襲いかかってきた。
サフィラは剣で受け止める。
が、しかし……
ボキッ!
剣は根本から折れた。
「なっ!?」
首狩り族の斧はサフィラの喉を狙う。
「くっ」
しかし、寸前の所で彼女は急所に当たらない様に避けたため、斧は肩を裂いた。
貫かれた肩口から鮮血が溢れ出す。
「やあっ!」
使い物にならなくなった剣を捨て、サフィラは思いっきり首狩り族の顔面を殴った。
「キィィィィィ……」
それから首狩り族は動かなくなり、青い光に包まれ消えた。
「……剣と服、そろそろ新調しなきゃだめかな」
サフィラは呟き、肩の傷を押さえながらパルミドへ向かった。
- ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第45話 ( No.80 )
- 日時: 2012/10/23 13:02
- 名前: フレア (ID: srAErIwi)
「お久しぶりでがす、旦那」
ヤンガスは情報屋かと思われるちょび髭の中年の男性に頭を下げた。
「おや、ヤンガス君ですか。お久しぶりです。何のご用ですか?」
「あっし達はドルマゲスって道化師の格好をした男を捜してんだ」
「あぁ、西の方へ海を歩いて行ったって騒ぎになっていますねぇ」
「流石旦那。話が早いや」
エイトはこの男はなんとなく信用できると思った。
「私達、西の大陸へ渡るための船が欲しいんだけど、どっかの金持ちが譲り渡してくれるとかない?」
「……港町ポルトリンクから崖伝いに西へ進むと、そこに広がる荒野に打ち捨てられた船があるそうです。
どうしてそんな水もない場所に船があるのかは分かりませんが、噂では魔法の古代船だとか。
もしその船を復活させる事が出来たのならきっと世界中の海を自由に渡る事が出来るのでしょうね」
「……みんな、取りあえずその荒野にある船の所に行こう。今は何にも手がかりが無いんだし」
エイトは言った。
「そうでがすな。旦那、ありがとうございやした」
「大丈夫なのか?そんな怪しげな情報に乗せられて」
ククールが言った。
常人ならこの反応が当たり前だろう。
「今は藁にでも縋る思いなんだ。何か手がかりがあるかもしれないし」
エイトはため息混りに言った。
「そこまで行って何も無かったらあっしらバカみたいでがすな」
「あら?情報屋の事信用してないの?」
ゼシカが訊くが
「いやいや、そんな事絶対に無いでがす!!」
必死に手を振って弁解するヤンガス。
「まあまあ。僕はサフィラを呼んでくるから、三人は先にトロデ王の所へ行ってて」
エイトは町の外へ駆け出した。
「サフィラー!!おーい!!」
パルミドの外。
彼女はここで魔物を倒していると言ったはずだが、居ない。
「どこに行ったんだ?」
エイトは再び町に入り、ちょっと怖そうな男に訊いた。
「あのー、銀髪の女の子見ませんでした?」
「その娘はカジノに入っていったぜ」
意外と親切にその男は教えてくれた。
ありがとうございます、とお礼を言ってからエイトはカジノへ歩き出した。
エイトはサフィラに対して何やってんだとちょっと腹立っていた。
「おぉー!!すげー!また当たりだ!!」
「運良すぎだろ!!」
「姉ちゃんその運俺に分けてくれよ!」
エイトがカジノに入ると、スロットの一角に人集りが出来ているのが見えた。
「えっと……私はどうすればいいんだ?」
その人集りの中にうろたえた少女の声が聞こえた。
「サフィラ……何してるの?」
エイトが人集りを掻き分け、呆れた様子で言う。
「えっと……戦闘してたら剣が折れちゃって、剣を買おうにもお金が足りなくて……で、カジノに来たらコレ」
サフィラがやっているスロットマシンの前には、大量のコインが積み上げられていた。
どうやら相当勝っているらしい。
「そろそろやめたら?」
「そうだね。景品交換してくるよ」
サフィラは大量のコインを抱えて景品交換所に向かった。
「外で待ってるからね〜」
エイトはサフィラにそう言ってからカジノの外へ出て行った。
- ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第46話 ( No.81 )
- 日時: 2012/10/23 14:40
- 名前: フレア (ID: srAErIwi)
十分後。
カジノの入口の扉が開いた。
「遅いよ、サフィラ。ほら、早くトロデ王の所にってうわぁっ!!」
「……?どうしたの?」
エイトが驚くのもそのはず。
サフィラはマジカルスカートではなく、
ビキニアーマーと呼ばれる女剣士が纏っているような露出度の高い鎧を着ていたからだ。
純情な少年を刺激するには丁度良かった。
「……?」
サフィラは何でエイトが顔を赤らめて自分から目を逸らすのかが分からなかった。
「ちょっ……サフィラ……何でそんな鎧を?」
「はぐれメタルの鎧。男性用のも試着してみたんだけどね……胸の辺りがきつくて結局女性用のにしたんだ。
肌が結構露わになってるけど、精霊の加護とかで魔物の攻撃を防げるらしいよ」
「はぁ」
確かに、物は良い。
エイトは優れた観察眼で物を正確に見分けられる。
この鎧が本物であるというのはすぐに分かった。
「あ、あとこの剣もコインと交換して貰った」
サフィラが腰に差しているのは鍔に隼の意匠が施された隼の剣と呼ばれる物。
軽くて強い金属で作られている、手にするとハヤブサのごときスピードで攻撃することが出来る剣。
「と、これ」
サフィラがエイトに渡したのはずっしりと重たい袋。
「何が入ってるの?」
「十万G」
「……どれだけ稼いだの」
「数え切れないほど。スロットマシン壊れていたのかな」
「……はぁ」
首を傾げるサフィラとため息を吐くエイト。
「トロデ王の所に行こうか」
「よぉ姉ちゃん、久しぶりだなぁ」
エイトと酒場へ向かう途中にサフィラは荒くれ男に話しかけられた。
「これが例の兄貴を投げ飛ばした娘ですかい?」
「なかなかの上玉ですなぁ」
取り巻きらしき数人の男達が口々に言う。
サフィラとエイトは無視して進む。
「おいおい……つれねぇなぁ」
荒くれ男はサフィラの腕を掴む。
「……放してください。貴方は誰ですか?恨まれることやった覚えも無いのですが」
「俺のことを忘れたのかよ。船着き場でおまえに投げ飛ばされた男だ」
正確に言うと、サフィラは投げ飛ばしたのではなく蹴りを入れたのだが、
もの凄い勢いで吹っ飛んでいったため投げ飛ばされたと勘違いしているのだろう。
「ちょっと来て貰おうか」
「彼女を放してください」
エイトが男の腕を掴み、静かに、しかし凄みのある声で言った。
「あぁ?てめぇ関係ねぇだろ?引っ込んでろ」
「エイト、ここは私が片づけるから」
「あ?」
「もう一度言います。放してください。放さないと……」
厳しい目でサフィラは言った。
「はんっ。この状況でお前に何が出来るんだよ」
男達は嘲笑する。
突然、男が握っていた腕が消えた。
腕だけではない。
姿そのものが。
「何っ!?」
チンッと剣を鞘に収める音がした。
次の瞬間、男達がが着ていた服はバラバラに破れ去った。
「どうします?このまま続ける?」
男達はガクガクと震えながら引きつった顔で首を振った。
この男達が感じているのは恐怖。
——いつも私はそうだった。みんな、怯えて。友達が一人ひとり消えていって……。
ほんの少し寂しさを感じたが、サフィラは気にせずに
「エイト、行こう」
と感情の無い声で言った。
——エイト達は何で私を《人間》として見てくれる?
そんな疑問が胸に広がっていった。
「サフィラ?大丈夫?」
エイトは心配そうにサフィラの顔をのぞき込んだ。
「何で君は私を《人間》として見てくれているの?」
サフィラはエイトに訊いた。
エイトは少し戸惑った顔をして言った。
「え……そりゃあ魔族とか人間とかそういうの関係無しに生きていきたいって思ってるからかな。今はまだ、難しいけど」
「………」
サフィラは刃を飲んだような表情になった。
——そんな事、出来ないって分かってる。絵空事だって……。でも、何なんだ?この気持ちは……。
「サフィラ?」
サフィラは自分を呼ぶ声で我に返った。
「あ……うん。……いつか、そんな時代が来るといいね……」
「うん……。同じこの世界の生き物同士で争うのは悲しいから」
エイトは空を見上げた。