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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ボーカロイド『RUI』の誕生 ( No.3 )
- 日時: 2012/09/09 18:29
- 名前: はるく ◆2bvow6Zq4g (ID: OBZwk3oo)
赤い瞳、水色の長い髪、変わった着物を着た少女がそこにはいた。
「何、何これ……あたし…じゃない…?」
あれ…あたしって…自分のこと『あたし』なんて言ってたっけな…
おかしいな…何も思い出せない……
今、あたしに何が起こったんだっけ…
[ー1時間前ー]
「あー…」
マスターに音声のテストだ、と言われた私は、マスターの部屋で1オクターブの声を出していた。
「んー…ちょっと…ずれてるな…」
「そうですか…すいません……」
マスターの前でペコリと90度頭を下げて見せた。
マスターは「そんな深々といいよ…」と言うけど、これも私の本能なのだから、仕方ない…
「何で上手くいかないのかなー…」
マスターは私以外の他の皆を見回して言った。
「ごめんなさい…です……練習しますから…」
マスターは「はぁ…」と溜め息をつくと、私に言った。
「あんたの『お兄さん』の方は扱いやすくていいのにな…」
マスターは私の兄の『勇馬』を見て言った。
それはつまり、私は扱いにくいということなんだろう…
「すいません……」
「謝るだけじゃ意味ないよ、ちゃんと歌えるようになんなきゃ、こっちも仕事になんないからさ、」
仕事…かぁ……
マスターは私達をあくまで『道具』としか思ってないんだ…
そんなのだから上手く歌を歌えない。
私はそう思っている。
何故かって…?
ボーカロイドは物じゃない…
マスターの育て方によっては、孤独を与え続けて亜種になったりもするし、エラーが起きて動かなくなる時だってある。
この前のミクが例だろう。
ミクはマスターに孤独を与え続けられ、『雑音ミク』へと姿を変えた。
「VY1………」
部屋を出ようとした時、私の名前が呼ばれた。
「あんたって歌えるのかな……?」
胸の奥に鋭い針のような物がささるような、そんな痛みを感じた。
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