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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ボーカロイド『RUI』の誕生。 ( No.50 )
- 日時: 2012/10/11 00:38
- 名前: はるく ◆2bvow6Zq4g (ID: Z6QTFmvl)
「…あたしはもう……『MIZKI』にはなれないよ……」
最後に言い残し、去ろうとした。しかし足が震えてなかなか立ち上がれない。あたしの心はもう、罪悪感でいっぱいだったのだ。
馬鹿だなぁ…最後くらい、格好よく立ち去りたかったのに…
そう、あたしの名前は『RUI』だったかな。あれ以来、それが脳内にインプットされている。「あたしの名前は『RUI』」だと。
でもこのままじゃ『MIZKI』とあまり変わらないかな。どうせなら苗字とかもつけて、あたしはもう『MIZKI』ではないということを強調したいところだ。
あぁ、『皐月』とかはどうだろう。確か『5月』の意味だったはずだ。心がこんなにも傷つき、冷えきってしまっているのなら、せめて名前だけでも優しい『春』がいい。『皐月ルイ』……おかしい、かな。
どうせボーカロイドなら……
「あたし……あたしは…『皐月音ルイ』。もう君の知っている『MIZKI』ではないよ。もう戻れない。あたしにはもう…孤独しか残っていないよ……」
そんな状態で、何故まだ生きなければいけないのだろう。生きる希望もなにもない。でも、どうしても行かなければいけないところがある気がして……
あたしの主張を聞いて、あたしがもうミズキじゃないことも全てを理解した勇馬は、悲しみのような、同情のような、思い出を思い返すような、とにかく複雑そうな顔をした。
ごめんね。それでもあたしは行かなければいけない。
やっとのことでまともに機能するようになった足で立ち上がると、あたしは背を向け立ち去ろうとした。
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