二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ボーカロイド『RUI』の誕生 ( No.51 )
- 日時: 2012/10/11 01:05
- 名前: はるく ◆2bvow6Zq4g (ID: Z6QTFmvl)
その時、だった。
「……ルイ…。」
不意にあたしを呼び止める声がした。それも、少し震えているようだ。
「…勇……馬..?」
見ると後ろで勇馬は泣き崩れるかのように寂しげに、『あたし』の名前を必死になって呼んでいた。
「分かったよ…もうミズキとは違うことも、マスターが今……」
勇馬はそれを言うのを少しためらったようだ。なんせマスターを傷つけた張本人が目の前に居るのだから。結局勇馬はその話を出すのを止め、引き続きあたしに向かって話しだした。
「それでも俺の気持ちは変わらないんです……ミズキかルイなんて関係ない。俺はルイが離れるのが苦しい……」
再び出そうになった涙を必死でこらえた。勇馬はあたしを止めようとしている。それが嬉しかった。あたしを必要としてくれている人がいる。それが、嬉しかった…
「でも、もう無理だよ………あたしがここに残ることはできない、勇馬もそれは分かってるよね……だから、あたしは…」
「それなら俺だって行きますよ……」
勇馬の目は真剣だった。
あたしだって本当はずっと一緒に居たかった。着いてきてくれるなら、あたしは嬉しい。それでも、あたしが勇馬を傷付ける、その可能性は多いにある。だからあたしは一人で此処を出なければいけないんだ…
「ごめんなさい……」
あたしの口から出た言葉はそれだった。「もう行くから」と残し、今度こそ此処を去ろうとした。
もう後ろは振り向けない…だって………この涙はもう見せられない…
「……ルイ…!!」
再び、勇馬の声が聞こえた。あたしが後ろを向くことはなかったが、最後まで耳はすませていた。
「それでも……ルイだろうがミズキだろうが…俺はずっと……ずっと…!」
「変わらず………好きだったから。」
ごめんね。あたしもだよ。
いくら人格が変わっても、想いを変えることだけは出来なかった。流れる涙が量を増す。駄目だ、駄目だ…最後なのに。
こんなに泣いたら、あたしの気持ちは言えないまま終わってしまうじゃないか………
さようなら 愛した人。