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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】短編オリキャラ募集 ( No.108 )
- 日時: 2012/11/20 19:32
- 名前: noeru (ID: 9dgTjxIn)
ある暖かな春の日の話。
何の変哲もない、普通の住宅街。その中にどう見ても場違いな、他の住宅よりも大きな家があった。それが園田家で、所謂『訳ありのご近所さん』だった。
夜中になれば夫婦げんかの絶えないすぐ隣の家の事情は、幼かった俺たちはよく解らなかった。ただ母さんが、近所で会うと俺とモモを連れて離れたから、関わったらいけない部類なんだろうなと思っていた。
なのに、そんな家の人がうちに挨拶に来た。
馬鹿馬鹿しい話だった。『今は入院してるけど、いつかお宅の息子さんと娘さんに、娘に会ってもらいたい』あの家に子供はいない。今まで見たこともないし聞いたこともない。母さんも父さんも、口を揃えて「きっと気がおかしくなったんだ」って言った。
その『娘』に会うことになったのは、ある暖かな春の日だ。
「……。」
「……。」
こちらはただ唖然と、あちらはこちらに気付かずに。
ただ解ったのは、『嗚呼、余所の家から連れてこられたんだな。』ってことくらいだった。
黒い髪はどこか赤毛が混じったような色で、漫画みたいにぐるぐると巻かれているツインテール。ぱっちりした目は外国人のようなヘーゼルで、上記の考察はそこからだった。もちろん、日本人離れした真っ白な肌も含めて。服装は真っ白なワンピースと同じく真っ白なレースのカーディガン。白レースのタイツに、綺麗に磨かれたローファーも白。つばの大きな白い帽子には、薄い青の薔薇の造花まで付いている。とにかく全身、白。本当に人形みたいだ。白いレースの日傘を閉じて、無言で家に入っていった。
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