二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】短編オリキャラ募集 ( No.121 )
- 日時: 2012/11/22 21:13
- 名前: noeru (ID: XJ.889mo)
(気持ち悪かったな……隣の家の。)
その日の夜、ベッドの上で横になって、1人考え事をしていた。もちろん隣の家の、あの『娘』のことだ。人間離れしているとか、人形みたいだとか、そういうのを通り越してもはや気味が悪い。生気のない眼も、つまらなそうな表情も、全部まとめた結論。気持ち悪かった。
窓の外を覗いてみれば、すぐそこに居るのだ。それもまた不安を掻き立てる。またあの朴訥とした表情で、部屋の中1人座っているのかと想像しただけで鳥肌が立つ。試しに覗いてみようかと思ってしまうほど、それは不思議で怪しい存在だった。その時、
「 !」
窓をノックする音が聞こえた。弱弱しい、でもはっきりした音だ。驚いて窓を開けると、その向こうにあの『娘』が笑っていた。昼間のことを思い出して一瞬怯んだが、彼女は気にも留めず笑っている。本当にあの時見た人と同一人物なのか疑ってしまうほど、彼女は普通で気味も悪くなかった。
「 ! 。 ?」
「……えっ、あの……」
「……? ?」
きっと彼女は喋れないのだろう。手を動かして会話している辺り、理解は出来ないが手話で話しているんだ。こちらが困惑していると、彼女もそれに気付いたようで、何とも言えない悲しそうな顔をした。でもまたすぐに明るい顔になって、部屋に戻ってしまった。
更に困惑して、もう窓を閉めてもいいかと思いながら彼女を待つ。そして10分後。戻ってきた彼女の手には小さな紙飛行機が握られていた。綺麗に折られていて、きっと手先が器用なんだろう。
「 。」
彼女の投げた紙飛行機は空を切り、まっすぐに俺の手の中に飛び込んだ。顔を上げると、彼女は口パクで『よんで』と言った。急いで飛行機を開くと、鋏か何かで切り取られたノートのページに、綺麗な字が書かれていた。
『初めまして!隣の家に引き取られてきました、雪芽といいます。
孤児院ではユキって呼ばれてたので、ユキって呼んでください。
この通り僕は喋れません。生まれつき病気を患っています。
この前の手術の影響なので、半年経てば元通り話せます。
その時は、たくさんお話したいです!!』
漢字だらけの、小1にはまだ難しい手紙から顔を上げると、ユキは窓からちょっとだけ顔を出してこちらを見ていた。目が合うとまた笑った。そしてまた口パクで『よろしくね』と言った。とりあえず、返事を……と思って、自分は話してもいいんだと思い出す。
「俺の名前は如月伸太郎です。よろしくお願いします。」
難すぎたかと思ってユキを見ると、一瞬キョトンとして頷いた。それからまた口パクで『しんたろー、よろしくね』と言い直して、また笑った。
