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明日から外の世界に行けるわけじゃない。
２日間の自宅療養の後、初めて学校に行ける。

病気のせいで、僕は学校で勉強をしたことが無かった。家で、病室で、ただ出された問題を片っ端から解いていく。「努力家だね」なんて言われるけど、それ以外にやることが無い。

２日間の間は、きっと部屋から出れないだろう。
この２日間は新しい薬に体を慣らすためだけの２日間だ。
今までの薬の副作用は主に、嘔吐感、頭痛、身体の痙攣、動悸、目眩、腹痛、全身の激痛、等は酷いもの。高熱、歩行が辛くなるなんてのは今まで通りで、まだまだ余裕だ。それに……本当はなんとなく気付いている。


—————この薬が、手術前に服用する物だと。


僕は１年に最低でも１回、手術を受ける。この前のは、病気を治すためにどうしても受けた手術で、きっと今度は声が出なくなるなんてことはない。でも、これだけの薬の量だから大きな手術だろう。きっと、４，５か月後……位に受ける手術。

それでも嬉しいのだ。
他人と関わることを諦め、自ら心を閉ざし、いつも笑顔を作っていた。
そんなことしなくてもいい人が……増えるかもしれない。
その前に死んでしまうかもしれない。
でも友達が出来たら。
想像しただけで笑いが止まらなくなってしまう程に。
それを掻き消そうとする現実を揉み消す。
有耶無耶に、誤魔化してしまう。
夜の暗い病室で、いつもは不安におびえていた自分が笑っているのに驚く。
早く学校に行きたいなあ。シンタローや、新しい友達と一緒に勉強するんだ。
登下校の時や、休み時間、給食の時はみんなでどんな話をしよう。
遠足とか校外学習は海に行きたいな。水族館や遊園地にも行ってみたい。
図書館で、たくさんの本に囲まれて本を読むのも楽しそう。
校庭で走り回ったりするのは無理かなあ……喘息持ちでは無いから平気かもしれないけど、この身体じゃ無理だろう。
クラブとか、委員会とかにも入りたい。
やりたいことが多すぎて、手術のことなんて忘れそうになる。
本当に、全部忘れられたらいいのになあ…………


長くは生きられないことも、ぜんぶ。