二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】短編オリキャラ募集 ( No.154 )
日時: 2012/11/25 18:43
名前: noeru (ID: Qn1W/5/L)



投薬開始初日。

お義母さんから見慣れた薬と、見慣れないカプセルを21粒渡される。
右から数えても21、左から数えても21。どんな成分が入っていて、どんな効果があって、どんな副作用があるかは分からない。でも飲む。
これほどの数だと、薬を飲むよりも薬の暴飲暴食ってとこだろう。

何ら副作用を感じない。薬を飲んだ後の、あの浮遊感はあっても痙攣もしなければ高熱も出ない。その日の朝食も普段通り食べることが出来た。

最初に副作用を感じたのは服用からわずか1時間後だった。


「———っああああああああ!!!!!!」


感じたことのない程の激痛に襲われる。身体中が異常に悲鳴を上げ、鋭いナイフで刺されたような痛みが全身を包む。脳、肺、心臓、腹部、2本の手足、全身が隙間なく埋め尽くされた。痙攣とも違う。激痛。
続くようにして激しい嘔吐感が込み上げてくる。なす術も無く吐き戻す。それでも尚胃はないものを吐き出そうと痛む。目眩と熱で頭がぼーっとする。身体が動かない。初日は過剰に反応するもの、というのは経験上解っていたが、ここまで酷いのは初めてだ。

お義母さんが介抱してくれる中で、意識はもうろうとして視界が暗くなる。




目が覚めた時はもう外は暗くなっていた。

副作用は一時的なものだったらしく、身体はだいぶ楽になっていた。むしろ薬が効いたのか、部屋から出るのは無理でもなんとか紙飛行機を飛ばすくらいは出来そうだ。声は……出る。

真っ白なノートを机から取り出す。ついでに本棚から分厚い本を取り出して、ベッドの上に投げ出す。椅子を引いて鉛筆を握り、ノートに絵を描く。真っ白い羽の、真っ白い絵を描いていく。〈天使〉という種族は背中に白い鳥の羽が生えていて、人々の願いを叶えてくれるらしい。僕はまだ見たことないけど、いつか見られるといいなあ。書き上がった絵を丁寧に折る。久しぶりに綺麗な紙飛行機が折れた。灯りに透かすと、まるで飛行機に天使が乗っているようだった。


「自分の力で、世界を飛び回れる翼があるくせに……」


苦笑いして、今日も窓を開ける。


—————今日も紙飛行機は、君のもとへ。