二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】短編オリキャラ募集 ( No.173 )
- 日時: 2012/11/28 19:55
- 名前: noeru (ID: a9n6ve.Q)
飛ばなかった。
目眩で遠近感が鈍っていたのか、シンタローの部屋の窓が閉まってることに気付かなかった。そのままコツン、と乾いた音を立てて青ざめた僕の期待とは裏腹に、紙飛行機は敢え無く落下した。取りに行けない。こんなことになるなら紙ブーメランでも折れば良かった(副作用で混乱しています)。
しかしそれだけでは終わらなかった。
「———あれ?」
紙飛行機は、妹ちゃんの頭上に落下した。
妹ちゃん、というのはシンタローの妹のことだ。モモちゃんというそうだが面識がない。なんとなく妹ちゃんと呼んでいる。妹ちゃんはシンタローをお兄ちゃんと呼んでいるらしいし、間違ってはいない。がさがさと音を立てて、あの天使in紙飛行機を開封していく。
「わあっ!お兄ちゃん、お空から天使さんが落ちてきたよ!!」
歓声を上げて、自宅に戻ってしまった。
(あああああああああ)と絶望の叫びは空しく声にならない。幼稚園児らしく可愛らしい発想だが、堕ちた天使は堕天使だ。そのレベルで終わってる。知らない場所で僕の絵が、どう評価されてるのかと想像しただけで意識がフライアウェイしかけた。ただこれ以上気絶すると作画的にもアレなので、ぐっと堪える。
『さて、紙飛行機をどうやって回収しよう……。』
はっと、思わず手話をしていたことに気付く。喋れなかったのはごくわずかな期間だったが、つい最近のことなので今でもたまに手話で会話しそうになったりする。
そしてそれをじーっと見られてる事にも気付く。
視線はいつもよりも多かった。
「い、妹ちゃん!」
いつもはシンタローだけなのだが、今日は妹ちゃんがいた。妹ちゃんは初めて見たが(しつこい)、とても可愛かった。シンタローによく似ている。僕には兄弟も姉妹もいないので少し羨ましい……なにかが胸を締め付けた。
「……妹ちゃん?違うよ、モモだよ?」
目線を伏せていると、妹ちゃんが口を開いた。
「あのね、これ雪芽ちゃんにあげる!!」
そういって妹ちゃんが小さな手で投げたのは———
「これ、僕の……!」
———天使の乗った紙飛行機。
妹ちゃんが折り直したのか、僕が折った線とは別に不器用に折られている。でもこの折り方は……
「わあ……お兄ちゃんに教えてもらったんだね。」
「「えっ、何で分かった の/んだよ ?!」」
綺麗に2人の声が揃った。声を上げて笑うと、2人も笑い出した。天使の乗った紙飛行機は、シンタローの折る紙飛行機の折り方で、妹ちゃんが折ってあった。
「ありがとう、妹ちゃん—————」