二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】短編オリキャラ募集 ( No.188 )
- 日時: 2012/12/09 12:42
- 名前: noeru (ID: 5T17/fJ8)
『わあっ、すごい綺麗———!』
一面に広がる銀世界で、黒い髪が雪を受けてキラキラと輝いている。
一見すれば普通の少女だが左右の目の色が異なる、オッドアイだ。真っ黒なマフラーを巻いているものの服装はとても寒そうだ。手には大型の銃が握りしめられている。
『……大丈夫だよ!これくらい……』
どうやら誰かと会話しているらしいが、声は聞こえないし姿も見えない。雪で視界が悪く、夜で周りが薄暗いからかもしれない。
『……ちょっとだけだから!!ここで、待っててねっ……知ってるよ、雪が……』
その瞬間、雪が吹雪いて少女は姿を消した。全く別の似たような2人の声が何かを叫んでいる。ずっと聞いていない、懐かしい声だ。
寒い。寒くて死にそうだ。
『……忘れないで……』
ノイズのように醜く擦れた泣き声が脳に直接響く。
『ここで見たこと、ここであったこと』
それは私が話しているようだ。勝手に紡ぎだされる言葉に耳を澄ませる。
『僕はお前の操り師。お前を苦しめていたのは』
意識がブツンッと、途切れた。
誰かがスイッチを切ったように突然。
首を絞められるように息が苦しい、違う本当に締められてる……!
人じゃない、鎖みたいな金属の冷たさが痛い。喉を内側から絞られてるみたい。
そうだ、私はもともと死に逝く存在だった。
思えば生まれた時からそうだ。
弟は生まれてこれなくて、母親は自殺して、父は事故にあって。
重い重い病気を患って、何度も瀕死の状態になった。意識が無くなるのも、発作を起こすのも、酷い副作用も全てが日常だった。
親友だって—————もういない。私が殺したも同然だから。
義理の両親に虐待されて、殺されかけて。
長くは生きられない、二十歳まで生きれたら奇跡。
いつも死を覚悟して笑って怯えてたのに……最期はあっけなかった。
身体がビクンビクンと小刻みに震えた。
私は何のために、誰の為に生きていたんだろう。
どこから私は間違ったんだろう。
ずっと一緒にいたのに、シンタローともアヤノとも違う人だった。
全く別の次元を、私は孤独に歩いていたんだ。
悲しい、寒い。
小さい小さい声で少し呻いた。
指先はもう動かない。
私は死んだ。
それは予定調和のように
王女様は死んでしまいました。
誰も、悲しみませんでした。