二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】短編オリキャラ募集 ( No.196 )
- 日時: 2012/12/16 12:46
- 名前: noeru (ID: pfT58CKF)
- 参照: 第2章すたあとおおおおおおおおおおおおおお
死後の世界はあまりにも手抜きだったというのが、僕の正直な感想だった。
空は真っ黒で、足元は真っ白だ。今まで病室で過ごしてきてボキャブラリーが常識人よりも圧倒的に少ないので申し訳ないが、こう、なんていうか、想像してたよりもずっと冷たい。
真っ暗の方が冷たいかと思っていたのは間違いだった。色彩というものは、コントラストが強いものの方が不安を煽る。
といいながら全く不安にならないのはなぜか。
「ここ何処かな〜……って声出てるやばい超嬉しい」
あまり興奮することが無かったのでこの嬉しさの表現方法が分からずに持て余しているのも非常にもどかしい。そしてそれがユキの声と一致しているのはもうアクロバットでもして喜びをぶちまけたい。
「手も、動く。足も、動く。……望んだとおりじゃん。」
ここまで夢に見た通りだと、死んでなくて目が覚めて「はい回診の時間ですよー」みたいなことはないかな。ないな。あったら恥ずかしすぎるわ。
「せめて雪でも降ってて星とか月とか見れたら」
ぶわっと。強い風が吹いた。鳥肌が立った。
まるでそれ以上言うな、とでも言うように。
「じゃ、あ代わりに……オーロラとか。」
すると目の前に静かに光のカーテンが現れた。
御本で見たままの、オーロラ様様の御登場である。思わず「おおおおおおおおお」と感嘆の声を上げる。
「次は、か、紙飛行機がいっぱい飛んでるとこは。」
どこからか真っ白い紙飛行機が音もなく、ふわりひらりと飛んできた。大量生産レベルの数で視界が埋まる。オーロラの光を受けて、赤、青、緑と瞬いている。
「すっごい……死後の世界ってこんなに」
「死後の世界ではないですけどね。」
子供みたいにはしゃいだままで振り返ってしまった。
うさぎがいた。
正しくは『うさぎの頭の人間』がいた。きぐるみ?普通の生き物?
神様伊達じゃねえ。喋る難物居た。
「なんで僕こんなに冷静なの。」
「第一声がそれですか。」
どこかで聞いたやり取りに気分を害された。くそう。
「あなた会いたい人がいるんでしょう?ここじゃあその願いは叶いませんよ。」
「どうすりゃいいの。」
「簡単ですね、あなたが会いに行けばいいんですね。あなたの能力で。」
僕にそんなチート設定はなかったはずだ。
じゃあなんだ、ここにきて設定が追加されたのか。
「違いますよ。あなた気付いてないだけで、昔から能力使いまくってたじゃないですか。」
「いつどこでどうやって誰が僕か。」
後半部分混乱しております。
「ずーっと使ってましたよ。『目を偽る』能力。あなたずーっと、自分の世界を偽ってたじゃないですか。」
「あのね、それって二次元のお話だよ。」
「二次元も三次元も関係なかったのでは?」
「僕は三次元。二次元はユキ。ユキは『目を潰す』能力なんですー。」
っていうかだんだん寒くなってきた?うさぎは相変わらず表情が見えないし、きぐるみみたいなデフォルト顔はにこにこ笑っていらっしゃる。
「その能力であなたはユキになれるのではないですか?」
「は?どうやって?」
「いつものように偽ればいいんですよ。もともとはあなたを偽るための能力。世界を偽りだしたのはちょっと手違いでしたが。あなたは自分をユキと偽り、世界を二次元と偽ればいい。そして会いたい人に、会いに行けばいい。僕の存在だって、あなたの偽りなのだから。」
寒空に列車が止まった。
温かい暖房が掛かった、乗ってみたかった列車が。
「早く乗ったらいかがですか?僕が乗ったら出発しますから。」
これって、御本に載ってた通りじゃないか。つまり全部のやり残しを終えたら死後の世界行くんですね。凝った事しますね。いや、これも『偽り』なのか。
うさぎにつられて、僕も列車に飛び乗った。