二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】短編オリキャラ募集 ( No.199 )
- 日時: 2012/12/20 19:08
- 名前: noeru (ID: 8Iser8UO)
『ちかてつ』のように真っ暗な中を漂うように列車に揺られる。
隣に座ったうさぎはすっかり眠っている。といっても顔はきぐるみ……というか被り物なので、喋らなくなったのと呼吸が穏やかになった辺り寝てんなーくらい。っていうかこいつ誰よ。着いて来て良かったんかな、でも暗闇オーロラ紙飛行機にボッチも虚しいもんなー。
……なにより、独りは寂しいって分かったばっかじゃん。
うさぎの野郎は相変わらず横で静かに快眠中。死んでないよね。うん生きてる。ちゃんと、生きてるわ。心配かけんな。でもうさぎって寂しいと死んじゃうらしいし。御本に載ってた。
「僕は———うさぎかよ。」
その通りですね。僕うさぎとしての素質は十二分にあるみたい。
……というか、早くうさぎ起きないかな。寂しくてこっちが死んじゃうかもよ。
否、僕はもう死んでいた。
「あれが最初のあなたですね。似ても似つかない姿ですね。」
うさぎが起きるとすぐに列車は止まった。一時停車した列車から降りると、目の前にビーカーが2本立っていた。
ううん、ジュースの瓶みたいだ。発行する液体にそれぞれ1つずつ、球体が沈んでいる。膨らんだり、縮んだり。分裂したり、1つになったり。
「これってGAMEの駒[ユウキ]の試作品2体でしょ。」
「よく御存じで。」
「……[ユウキ]知らない人なんて今時いないよ。」
あるゲーム会社が18年もの歳月を掛けて作り上げた大作。プレイヤーは[GAME]……そのまんまの題名だが、その[GAME]の提督となって、駒と呼ばれるキャラクターを操作・育成するのだ。
通常シナリオとは別に、オンライン通信のみで他プレイヤーとクリアするシナリオや追加ダンジョン、魅力的なアイテムも充実しているとかで、テレビを付ければ1日1回は目にする。
だがしかしこのゲームの人気の理由はやはり、1000以上居る駒の存在だろう。
その中でも特に人気なのが、[ユウキ]と呼ばれる2体である。
光と呼ばれる少女のような姿の[ユウキ]と、闇と呼ばれる少年のような[ユウキ]がいて、姿は一卵性双生児のようにそっくりなのだ。
しかし今目の前にいるのは、GAMEのプロローグPVで流れる、まだ試作品段階の[ユウキ]だった。まだ人型ではなく、特徴的な模様とビーカーの中で発達する様子が見えなければ分からない人も多い。
「これが僕なわけないじゃん。」
「いいえ。話せば長くなりますが、これがあなたです。」
うさぎはニコニコ笑っている。