二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.2 )
日時: 2012/10/16 18:28
名前: noeru (ID: QfVccQW6)


「ねえねえ名前教えて?」

「嫌です」

「じゃ、じゃあ苗字は?」

「嫌です」

「…シンタローとどういう関係なの?」

「嫌です」

さっきからこのやり取りがかれこれ30分は続いている。カノが同じことを聞き続けているが、それに絶対に「嫌です」しか答えないのが面白いらしい。ユキはカノがそれを見て爆笑しているのが気にいらないらしく、もう3度は脱出を試みた。無理だった。

「もう離してください」

「台詞変わったね。でも嫌☆」

無理矢理逃げるのは無理だと判断したらしい。ついに「離してください」「嫌だ」の全くさっきの会話とは正反対な会話になった。


     ・   ・   ・


何が起こったかというと、あの泣き声が止んだ後、泣き声は止んでいたが本人は病んでいた。

「これは夢なんだそうそう夢だってこの家にシンタローを訪ねてくる人とかありえないしいくらシンタローが頭いいからってあんな数精神コントロールして連れてくるなんて無理だってまじ無理www」

病んでるってよりも重症だった。その後壊れたユキをリビングまで運ぶと気絶、とりあえず起きるまで何してようかと考えているとカノがユキで遊びだしたのだ。途中でユキが起きてとんでもない悲鳴を上げたのはいうまでもない。


     ・   ・   ・


「でも良かった、包帯巻いてて」

なんとかカノを撒いたらしいユキがため息をついた。コミュ障でもあるユキにとっては今までで1番辛かったかもしれない。

「え?包帯なんて巻いてるんですか?」

いつの間にかユキの横に移動していたマリーが興味深そうに、隙間なく包帯が巻かれた腕を見つめた。

「生身で触れるとね、触れた相手を殺しちゃうの」

ユキはすっかりマリーに慣れたようで(本能的に人間じゃないと分かったのかもしれない)、意気揚々とした笑顔で話していたが内容はグロかった。

「ていうかさ、ユキちゃんってなんかの『能力』持ってるよね?キド。」

「ああ。本人も自覚しているだろう。もうそれが何度も発動しているんじゃないか?」

微笑ましい2人組の横で何やら話をしているのだが、ユキが買いだめしていたシュークリームを頬張っており真剣さに欠ける。

「…ここにいる人全員『能力』持ってるの?」

ユキが少し戸惑ったかのような顔でシンタローの服の袖を引っ張った。赤渕メガネをもう片手で握りしめている。迷った後、シンタローは頷いた。

「—————っ!」

ばたばたと音を立てて、何回も落としながらメガネを必死に掛けようとする。ひどく怯えていて、恐怖に顔を歪ませている。

「嫌嫌嫌嫌嫌いやいやいやイヤぁ…!」

ただ否定し続けて焦る、焦る。目が一瞬だけボウッと紅く光った。すると益々焦って、最終的にまた泣き出してしまった。

「大丈夫…?」

マリーが手を差し出した。ユキは震える腕で必死で目を塞ぎ、マリーの手を強く振り払った。

「だめ、目を、合わせたら…。」

それだけ言うと、立ち上がり走ってまたシンタローの部屋に閉じこもってしまった。