二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】短編オリキャラ募集 ( No.217 )
- 日時: 2012/12/28 19:32
- 名前: noeru (ID: sMzMY2aV)
幼い頃に、学校の友達と『ユキ』は将来の夢の話をしたことがある。
ある子は「警察官になりたい」と言った。
ある子は「獣医さんになりたい」と言った。
ある子は「モデルになりたい」と言った。
ある子は「サッカー選手になりたい」と言った。
ある子は「マンガ家になりたい」と言った。
ある子は「ケーキ屋さんになりたい」と言った。
『ユキ』は何になりたいの?と聞かれて、「お医者さんになりたい」と言った。
「看護士さん」でも「薬剤師さん」でも「お嫁さん」でも「歌手」でも「画家」でもなれるような子だった。
『ユキ』は帰り道、シンタローに何になりたいの?と聞いた。シンタローは特に何もないと答えた。『ユキ』は次の日、学校でアヤノに何になりたいの?と聞いた。アヤノは特に何もないと答えた。
「———似た者同士だね、僕と違って」
確かそんなことを言ったっけ。
『ユキ』も僕も、ビーカーの底で蠢く『ユウキ』も。元々はある少女の願いによって生み出された。
というか、GAME自体が彼女の為に造られたものだった。
少女は所謂多重人格というやつで、彼女には自分にそっくりな少年が見えた。存在した、他人からも見えた。でも双子じゃない、そっくりな1人の人間として、2つは生きていた。言うならば、1人の裏表を2つで象っていた。
少女には双子の友人がいた。遠縁の親戚らしいが、こちらは正真正銘双子。明るく天真爛漫な姉、生意気だが優しい弟と無邪気だが破壊癖のある表の少女、無表情で口の悪い裏の少年。約4人はいつも一緒だった。
しかしそれは突然に終わりを告げた。
少女の表が死んでしまった。
寒い雪の降る夜に、1人で家を出てそのままだ。
もちろん少年の裏も消えた。
数時間後、雪が雨に変わった朝のことだった。
うさぎは懐かしそうに、大切そうに物語を紡いでいく。
その当事者は僕か、『ユキ』か、『ユウキ』か、全員か、もしくは赤の他人か。
うさぎとまた列車に乗り込んだ。
ビーカーはいつの間にか、とても小さく見えた。
いよいよ、『ユキ』に還る旅へ。