二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】オリキャラ募集終了 ( No.292 )
日時: 2013/01/27 12:54
名前: noeru (ID: bc9FatWn)


頭がぐらぐらしているような感じだった。まだ夢を見てるみたい。でも夢にしては生々しくて、凍えるような指先の感覚があった。
外になんて出てないのに。
それに、何か大事なことを忘れてるような……?


「……。何だっけ?」


みんなはいないようだ。身体を起こして周りを見回して、気付いた。ここはシンタローの部屋じゃなくて、いつもの病室だ。丘の上に出来た総合病院。私は病院服を着て、引きこもる前となんら変わりない姿だった。外は分厚いカーテンのせいで見えない。いつもの、白い白い部屋だ。机の上には写真立てが4つ、飾られていた。ベッドから腕を伸ばして、1つ、2つ、3つ、4つと手に取る。ふいに、携帯が強く震えた。


「テト。」

「目が覚めたか?今シンタロー達を呼んでくる。」


それだけ言うと、緋色のドリルツインは画面外に消えた。
私は改めて、まじまじと写真を眺めた。
1つ目は私とキド・カノ・セトの幼い頃の写真。まだ孤児院にいて『音無雪芽』だった頃の写真。病室で撮ったもので、私と周りだけが真っ白。3人は色があって笑っている。
2つ目は私、シンタロー、アヤノで撮った写真。中学で事件を起こして、家出の虐待が収まった後の写真。この時すでに如月家に居候していて、その後また……今お世話になっている。
3つ目は高校の養護学級で撮った写真。私、榎本先輩、九ノ瀬先輩、研次郎先生、それから榎本先輩の幼馴染の柚野先輩。通えたのはほんの短い間だったけど、とても楽しかった。先輩たち元気かな。
そして、最後—————





    《思い出しちゃいけないよ》
                    《悲しみたくないでしょう?》
       《知ってたはずだ》
           《僕なんか最初から愛されていなかった》
  《全部嘘つきだよ》
                       《意味なんてない》
               《忌みすらもない》
   《何を感じてもどうでもいい》
                     《君はそういう人間だろう?》
    《嫌なら生きるしかないぜ》




《あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ》







4つ目は病室の写真。
私と、誰かと誰か。
とても仲がよさそうに、肩を寄せ合って笑っている。
オレンジっぽい髪の男の子と白い髪のオッドアイの女の子。
思い出せないけど、とってもあったかい。
でもなんだろう。


「……ま、いっか。別に大したことじゃないんだろうし……」


写真立てを元の場所に戻して、みんなを待つことにした。






















《そうそう。君は、思い出さなくっていいんだよ。》