二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.3 )
- 日時: 2012/10/17 15:34
- 名前: noeru (ID: KoXr3CGH)
「だめ、お願い、今は、今ハ…!!」
部屋の隅で蹲ったまま、ユキは嗚咽を混ぜながら泣いている。意識がもうどこかおかしくなっていて、喋っていることを自分でまとめて理解することに言葉が追い付いて行かないようだ。もともとそんなところは在ったけど。現コミュ障なのが証拠だ。
「シンタロー、ユキちゃんは何の『能力』なの?」
カノはあまりユキを気にしていないようだ。マリーがおろおろと動き回る横で、まだシュークリームを食べている。
「あいつは…確か『目を潰す』って言ってたな…。」
それを聞いた瞬間、キドが少し表情を変えたことに誰も気付かなかった。
・ ・ ・
「今日から私たちがパパとママよ」
「さあ早くおうちに帰りましょうね」
「あなたの名前は園田雪芽よ」
「もう中学校には行かなくていいからね」
「だめよ、お友達の自殺くらいで退学なんて」
「家を出ていく?ふざけないで頂戴!あなたは私たちに逆らったら生けないのよ」
「雪芽!!出てきなさい、雪芽!!」
「如月さんのお宅で暮らすってどういうこと?答えなさい、雪芽、答えなさいよ!」
「ちょっと!うちの雪芽を返して!!誰もいないの?!」
私が、お父さんとお母さんの目を潰したら。
自由になれたのにな。
・ ・ ・
「昔さ、中学であいつ虐められてたんだ。もともとたまに目が真っ赤になるからそのせいだったらしいんだけど。その時に、いじめっ子の目がさ…潰れたんだよ。あいつと目が合った瞬間に、何かに刺されたみたいに。」
やはりかつて『能力』が暴走したことがあったらしい。それ以来目を合わせなくなったのだ。腕に巻かれた包帯も、人間恐怖症もその出来事からか。
「それ以外にも、あいつの周りはおかしいことが起こりやすいんだ。」
「おかしなこと?」
セトがようやく落ち着いたマリーの頭を撫でながら聞いた。半分マリーに癒されているようにも見える。
「物が、異常な壊れ方をするんだよ。なんつーか、こう、剣で斬られたみたいに真っ二つに…。聞くとさ、かならず『うん、私がやったらしいよ』って。やったらしいっておかしいし、そんなあいつなんかじゃ斬れないものなのに。」
『うん、私がやったらしいよ』。
もしかしたら、あいつはやっぱり———。