二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】オリキャラ募集終了 ( No.304 )
日時: 2013/01/30 23:40
名前: noeru (ID: S8AJBgfb)
参照: 公式ファンブック買えたあああ IAちゃんありがとおおお


《……つまらない》

誰だか分からない。誰でもない。
紅くて白くて黒いそれは、無の塊。またはごくごく普通の少女だ。

《死ねよ死ねよ死ねよ》

呪文のように束縛のように呟き続きる。
呪うとすれば、己の感情を。
己の存在それ自体を。

《———生きてる意味なんて、今日も見えなかったよ》

ぐねりと歪んだそれは、急に涙を流し始める。
不安定で不完全なのに知りすぎてしまった。
それ故に壊れてしまった。

《明日も見えない暗闇に怯えながら笑わなきゃ生けないの?》

紅い飛沫が宙を舞う。切った訳じゃない。切れない。鋼の腕。
自分の死を選ぶことも許されない。
それくらい、私は弱い地位でぎりぎりで生きている。

《それなら、死んだ方がマシだよ……死なせてよ……》

その時気付く。

《お前みたいな醜い生き物が願い事なんて》
《ただ可哀想って思われたいだけのゴミが》
《通常と同じ思考なんてもともと持ってないくせに》
《その泣き顔いい加減ウザいんだよ》
《自分だけ得してればいいくせに》
《ずるい奴、生きてる価値ないね》
《ていうかまだ生きてたの?》

これは全部それの声。
それが知って憶えて気付いた、客観的な自分の評価。
だからいい。
自分が思ってないことを言われても今更、傷付かないの。
これ以上傷が残るスペースはないの。


《—————ほら、夢は終わりだよ》

それの声とは似ているけど別の声。
無機質で冷たい声。
それは歓喜し興奮し、小さな襤褸切れのような身体で夢を見る。
現実は夢、褪めてしまえば楽しい世界が待っている。


『目に夢を見せる』。
それが造り出した世界で、彼女はそれを制御する役割をそれ自身から直々に担っていた。


「ユウキ。」


鮮血のような赤い髪、何も映さない黒い黒い目。
右腕がコードのその少女こそ、全てを生み出したそれの暴走を抑える特別な1人だった。
それが彼女に与えた能力は、もともとそれが生まれつき大事にしていたものと同じだと、それは気付かなかった。しかし今もそれはこの能力と同等のものを持っている。
それが持っているのは、あくまでもただの創造力だが。


「……てめえか。」

「酷いなぁ。僕らみんなそれに造られた仲間だろ?僕らは特に……おおっと。」


同じく紅い鮮血のような髪の長身の青年の目の前を、碧い電磁波が鋭い剣のように突き抜ける。彼はそれを最小限の動きでかわし、ニコニコと胡散臭い笑顔を放っている。ちなみにその左腕は鎖だ。


「急に何するんだよ。驚いたよぉ?」

「お前は『裏』のpartsだろうが。『表』の真似すんな。」

「いやぁ、『裏』の『表』への執着心は僕が貰ったみたい。」

「流石同一人物だよ。2つ揃ってヤンデレか。」


少女はまるで青年を軽蔑するような目つきで毒吐くと、禍々しい黒い目の瞼に触れた。次に目を開いたときは、光が無い目の奥にぼんやりと赤い何かがあった。


「それがさぁ、聞いてよ。『表』からの報だよ。GAMEが面白くなりそう!」

「……どうした?」

「playerを絞るってさ。僕らもここから出ない?それこそ、『表』の完全な現身の子がさ、いるじゃん。今は{肉体}たちがいるみたいだけど。」

「僕の方は、{記憶}まで居座ってるがな。まぁ奴も直に文月連の方に映るだろう。」


これだけは言える———と彼女は確信を持てた。
{記憶}はいずれ文月連の元に行く。{記憶}には『表』の頃からのあいつへの深い深い執着心が、もはや本能となって染み込んでいる。
無理に引き剥がせば、{記憶}は理性を失って暴走するだろう。


「———じゃあ、結局どこに行く?」

「まだここにいる。能力を使い続ければそれは完全になるんだ、その時にまた考えればいい。」

「了解。」


2人の目は怪しい赤い光で埋め尽くされていた。