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『知らないなんて 無知なんて 世界は考慮してくれない』


幅広い声域。長く長く、滑らかに伸びていく低音のフレーズ。一定に設定されたビブラートのタイプがぴたりと止まる。何度聞いても気味が悪い歌声を、どうしてみんな「完璧」とか「歌姫」なんて呼んだんだろう。
誰が、私の歌を求めたんだろう。
月が病室を照らす明け方。眠れない。


『その感情をパラパラ壊して 要らない存在 必要ないよ』


好き。
なんて醜い感情なんだろう。私が持ってた好意は黒い捻じれた、歪んだ愛情。全てください、私以外見ないで下さい。なんで？
こんなにも自分が嫌になったのは初めてだ。
いや、きっと初めてじゃない。
こんな気持ち今までどこかで………………




《僕を見てくれない　　　　　なんて、死んじゃえ》

《殺してやる！　　　　　はお前に殺されたんだ！！殺してやる……》

《私は結局、自分が可愛いだけ》

《それでも　　　　　が好きだよ》


《　　　　、　　　　　。》



好きだよ。
とってもとっても大好きだ。

ところで質問なんだけど、私が好きなのって誰？


『君のこと嫌いじゃない』



《　　　　　は、僕だけのものでいてね》

「






南病棟が騒がしい。向かいの部屋ではあの少女が、いつもとは違って楽しげに写真を眺めている。
いつもとは全く別の写真だ。




「もうすぐだからね、アヤノ。」


今日は専属医がいい話があった。私が喜ぶと、先生は困ったような顔。もちろんシンタローたちにはまだ言わない。ぎりぎりに言って驚かせたい。たぶん「なんでそんな大事なこと言わなかったんだ」って怒られる。


「あと、半年……半年で……」



















また会えるね。