二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】オリキャラ募集終了 ( No.318 )
日時: 2013/02/03 15:04
名前: noeru (ID: 1U9R9WXJ)
参照: 君の犯した過ちに 刺し殺されてしまっても 泣いた、実話?


「———ってことと、それから————ね。あと、そろそろ……」

「はい、部屋の片付けですよね。やっておきます。」

「……ごめんなさいね、本当に申し訳ないと思ってるわ。」

「気にしないでください。私、大丈夫です。」


今日の回診も終わって、先生は足早に病室を去った。雨樹と2人で黙々と荷物をまとめる。といってもほとんど何もない殺風景な部屋なので、作業はものの15分で終わった。小さな段ボールを雨樹が軽々と抱えて、私たちは黙ったまま歩き始めた。

私のいた南病棟、霊安室のある西病棟を通って向かいの北病棟へ移動。東病棟は主に事務室や外来、手術室や集中治療室など私がお世話になってばかりの病棟だが、今日はスルー。
今日から病室は北病棟に移動になった。先生によれば、私の病室を使いたいという別の患者がいたそうだ。私はより設備の整った北病棟で、残り短い闘病生活を終える。あんなに辛かったのに、最後なんて案外あっけないものだ。


「……ここだって。」


先を歩いていた雨樹が立ち止まった。ドアには「108」の文字。
北病棟の10階以上特有の100番台の病室。


「それじゃあ荷物は置いとくから。……僕は家に帰る。」

「分かった。気を付けて、キド達によろしくね。」


雨樹はあの後、メカクシ団のアジトにお世話になっていた。流石にシンタローと……というと一部の方々が発狂するシュチュエーションになることくらいは分かるので、キドに頼んで空き部屋を貸してもらった。
といっても朝夕食と寝泊りのみのような状態で、ほとんど病室に来ている。

見慣れない病室の風景は、今までとは大きく変わったものだった。窓から顔を出してみると、昨日までいた南病棟の病室が遠くに見えた。この部屋は西病棟側の一番端にあるが、あの部屋は東病棟側の端から数えて4、5番目くらい?に見えた。


「……暇だな……本でもないか…な……?」


そこまで言ったところで、ふと視線を感じて段ボール箱からドアへと視線を移した。
初めて見る女の子が立っている。年齢は同じくらい。白いふわふわの髪はマリーちゃんに似ていて、左右で白黒の目は何か考えるものがあった。オッドアイ?どこかで見たことがある。でも白と黒じゃない、もっと別色の………


「あの……」


おずおずと出てきた彼女の声は驚くほど小さなものだった。黒いショートワンピースに白いショートパンツ、モノトーンが好きなのだろうか?ピンクのリボンを付けているのもよく似ている。


「………」

「間違ってたらごめんなさい……Mkさんですか?」


———Mk?

嗚呼なるほど。この子はMk……Mishurikaの初期ファンだ。初期は芸名まで略称して伏せていたし、いまだにそうやって呼ぶマイナーなファンも多い。


「そ、そうなんです!私初期からのファンで!全部好きです!一番好きなのは『純白パロディ』なんですけど、『モノクロ白昼夢』も大好きで……」

「って、ええっと私何も言ってないよ?」

「!あ、あのその……すみません!」


ものすごい勢いで彼女は謝ると、廊下に飛び出して見えなくなった。


「なんだったの……?」







「今……今……」


間違いない。信じられないけど確かだ。


「『能力』が効かない……?」