二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】オリキャラ募集終了 ( No.325 )
- 日時: 2013/02/03 18:04
- 名前: noeru (ID: 1U9R9WXJ)
- 参照: 君の犯した過ちに 刺し殺されてしまっても 泣いた、実話?
「………で、思わず飛び出してきたと。」
「うん……。」
「あのさ、エンカって馬鹿なの?」
「馬鹿じゃないし!!その態度むかつく!!」
いかにも「私怒ってます」的な勢いで、エンカは備え付けのテーブルを強く叩いた。積んであった本が崩れて大きな音を立てる。
エンカによると、この階の端の病室に例のMkが移動したらしい。ずっと空き部屋だった病室から人の気配を感じ、ドアが開いていたので覗いてみたら本人で気付かれた……というのがエンカの説明だった。
「それより……あの部屋から出て行った方がいいって言った方がいいよ。」
「えっ、何で?!」
あの病室に患者の幽霊が出る、というのはかなり有名になっていた。エンカは知らないだろうが、1週間前くらい前から『夜になると緑髪ロングヘヤーの少女の幽霊が西病棟の端の病室に立っている』と噂されていた。目撃者もいるそうで、彼女はいつも泣いている。彼女の視線の先にある病室の患者は次の日の明け方に亡くなる。というのが噂の主な内容だった。
「別に……なんか噂してるから。幽霊が出るとか……」
「幽霊?!何それ、Mkが危ないじゃん!!連、先生に相談してよ!」
「俺そういうの興味ないから。幽霊とか馬鹿馬鹿しいし。」
「じゃあせめて夜間はMkを見張っててよ!」
「お前は馬鹿なのか?!」
夜間に別病室に忍び込んでいるところなんて目撃されれば、侵入罪を問われてしまうだろう。しかもそれが元芸能人の金持ち少女。俺はいったい幾つの在らぬ罪を疑われなければならないんだ。
「え〜?でも大丈夫だと思う。だっていつも見に行ってるじゃん。」
「はぁ?!俺が?!」
「うん。さっきね、ちょっとおかしかったんだけど……」
エンカが見たのは本当におかしい光景だった。
黒髪をツインテールにした幼い少女。中世のお姫様のような、高そうな服を着ている。ここからよく見えない誰かと手を繋いでいる。
こっちを振り替えって無邪気に笑う。彼女を黒く、禍々しい何かが覆っている。
急に場面が、さっきとは似ても似つかない光景に変わった。恐ろしい、戦争に見える。こちらは窓の向こうに居て戦場を見下ろしている。高そうな廊下に当たり前のように立っているのだ。視線の先には、成長したあの黒髪の少女。黒い剣で手慣れたように敵を斬る。紅い鮮血を浴びて何故か城へ、ここへ向かっている。
そして最後……病室だ。俺が、こっちを見下ろしていた。こちらはベッドで眠っていて動けない。俺の目は虚ろでゾッとした。
そして俺の手が伸びてきて、首を掴む。力を込める。何かを呟いている………
「———ってなんでだよ。」
「でも、本当に見たんだよ〜」
「いや本気で憶えてないし。目も合った事ないんだよ?」
「……そりゃそうだよね。そういえば『能力』も効かなかったし……あんなの、ユキ以来だよ。」
エンカは似合わない難しそうな顔をして、珍しく真剣に悩んでいた。