二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】オリキャラ募集終了 ( No.332 )
日時: 2013/02/11 18:09
名前: noeru (ID: XJ.889mo)
参照: 君の犯した過ちに 刺し殺されてしまっても 泣いた、実話?



[ハリボテの正体が知りたいなら、私の部屋の鏡を覗いて。]↓

携帯のディスプレイに映し出されたユキから送られてきたメール。あの時以来ユキの部屋には入ってないが、部屋に確かに鏡があったはずだ。
中学に入る前の春休みくらいに取りつけたものだ。蝶使いで開け閉めが出来るアンティークの年代物。黄ばんだアイボリーの塗装が施されていてはっきり言って趣味が悪い。
でもそれをユキは「可愛ぃでしょ!これだぁぃすき!!」……


あれ?





「……………」


カチャカチャカチャ……


「……………」


カチャカチャカチャ……


「………」



(気まずい……)
いつもにぎやかだった夕食はある日を境にこれ以上ない程静かになった。もちろんユキの双子の弟?の雨樹がやって来た日からだ。
ユキと違って滅多に笑わないし、どちらかと言われればいつも不機嫌そうだ。無口だし、昼間はいつもユキの病室に行っているので顔を合わせるのは朝夕食のみ。帰ってきても無言で部屋に籠ってしまう。一度だけ部屋を掃除しようとしたら激怒したが、それ以外感情の変化を見たことが無い。
カノも気まずいのか欺いているし、マリーに至っては怖がって目も合わせようとしない。こいつに『目を合わせる』は効かないので、あの真っ赤な目が合ってしまっても問題ないだろう。セトはほどんどバイトだ。
つまりこの状況をどうにか出来るのは俺だけ、というわけだ。


「そういえば雨樹くん。どうして部屋を掃除しようとしたらキレたの?」


居た堪れなくなったのか、カノが最高にうさんくさい笑顔でさりげなく雨樹に話しかけた。欺けない相手であるあいつは苦手かと思ったが、まあいいか。
しばらく沈黙が続いたが、とうとう雨樹が口を開いた。


「……別に。深い意味はない。」

「え〜?教えてよ。」

「……教えるほどのことじゃない。」

「ふーん。見られたくないものがある、とかかな?」

「———っ!!」


鉄壁の表情が明らかに崩れていった。驚いてるような照れているような複雑そうな顔だ。左手から箸がすべり落ち慌てて拾う。どう見ても同様していた。分かりやすい奴だ。
箸を拾うと、「ごちそううさまでしたっ!!」と叫んで部屋に飛び込んでしまった。


「いや〜、キドあの子面白いね!!弄りがいがあるっていうか……」

「カノお前やりすぎだろう……。それにしても、あいつ何か隠していたのか?」

「みたいだね。大事なものなんじゃない?今度こっそり見ちゃおうかな?」

「危険物じゃなければいいがな……」



「良かった……あった」


箪笥の左上の引き出しの奥。バレたかと焦ったが、指輪は薄汚れた黒い箱の中に仕舞われていた。ほっとしたのも束の間。完全に動揺してしまった今、ここに昼間放置しておくのは危険だろう。それから鏡……ユキの部屋にあるが、あれも回収しておくべきだ。大きさが大きさなので、あの時のように4つに分けて加工してしまうのが無難か?鋏と蝶もどこか遠くへ隠してしまおう。他の器はユキの病室の段ボール箱の中。あれもそれぞれ別の人間に預けよう。なにがあっても『蛇』に見つからないようにしなければならない。


「何があっても……か。」