二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】オリキャラ募集終了 ( No.349 )
日時: 2013/02/24 18:55
名前: noeru (ID: pfT58CKF)
参照: 夜咄ディセイブのリピート回数が病気です重症です



「この世は不憫と不条理で出来ている」

ある世で、ある人がそう決めたからこの世はそういうものになった。
その人がそう決めたから彼女は『バケモノ』という名前だった。
『バケモノ』は人格者で優秀で素直で1人だった。この世に彼女以外の『バケモノ』の存在は許されなかった。
でも『バケモノ』が作ってしまったから———『バケモノ』は怪物になった。
怪物は何人いても足りなかった。
見捨てられた少女は聞いた。

「私に力をくれますか」



どうしたらいいんでしょうか。
『かんきゃくせき』いっぱいの、人、人、人。これはあれです。人違いってやつです。私はこんなに多くの人を目の前にしたことはないけど、とりあえず大変なことが起こってるんですね。
レイちゃんの『のうりょく』でも惑わしきれないくらい?もしかしたら私、いつもみたいに待ってても助からないかも?
『だいおんりょう』の声が耳に痛い程響いてくる。点滴とか採血検査の時とはまた違う……痛み。とてもとても怖い。あ、分かりづらいですがとにかくすっごい人の数。数という『がいねん』はよく分かりませんが、たぶんこのすごさを表すためなんですね。

さて、『ぶたい』の上に引っ張り上げられたんですけどどうしよう?


「クソっ……」


誰にも聞こえないような小さな声で舌打ちした。
そもそも美をこのイベントに連れてきたことが間違いだった。いやレイに勧められるがまま歌の大会なんかに出てしまった俺も悪かったのかもしれない。
でも今はそんなこと言ってる暇じゃない。驚きすぎて泣くこともせず呆然と立っている美。美が歌を歌える……Mishurikaの声を出せるはずがない。美はただのそっくりさんなんだ。それ以上にまともに話すことも出来ない。こんなに大人数じゃレイの『能力』だって限界がある。かといって俺に何が出来る?
なんてもどかしいんだろう。こうしている間にも人は集まり、警備員も増える。
その時だ。

「「キャアアアアアアっ!!」」


耳を劈くような悲鳴。乾いた発砲音と小さな爆発音。美がその場に座り込んで泣き出した。
自体は悪化するばかりだ。何でこんなことに……


レイと俺は昔、『メカクシ団』という傍から見ればかなり怪しい団体の副団長と団員だった。もちろん俺は団員だ、断じて副団長などやってない。学校の友達数名と、そいつらと同じ孤児院にいたレイしかいないような団だったがまあまあ楽しかった。
それから2人とも抜けた。レイは親の仕事の事情で隣の県に引っ越したが、今年の8月に帰って来た。
美ははっきり言ってしまえば全然知らない。親はいるのか、そもそもどこで暮らしてるのか、名字も年齢も、そもそも日本人なのかも分からない。
知っているのは、物心つく前から入院していた病院を退院(またの名を脱走)して人探しをしていること、長い間話せなかったために「話し方が分からない」こと。
それから……これは誰にでも言えること。
美はMk、Mishurikaにそっくりなのだ。俺自身、Mishurikaについて全く知らないが、人間離れした声や人形のような可愛らしい顔くらいは知っていた。男なら10人中10人が「可愛い」と言うだろう。
しかしMishurikaはもう引退している。ヒキニートだった俺はネットが一時そのことで騒然となったのをよく憶えているからだ。そのために彼女の目撃証言があった場所にストーカーのようなファンが大量に群がり、ちょっとした騒ぎが起こるのも有名だった。
簡潔に言おう。
その狂乱者レベルのファンが、Mishurikaと間違えられた美が目撃されたこのデパートに押し掛けている。

……じゃあなぜテロ集団紛いの奴らがいるのか。