二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】オリキャラ募集終了 ( No.351 )
- 日時: 2013/02/26 18:05
- 名前: noeru (ID: KTS4wi0k)
- 参照: 夜咄ディセイブのリピート回数が病気です重症です
……遅いな。
時計は只今PM2時。暗いまま何も映さないテレビの画面をじーっと眺めていた。黒っぽい色彩の私が無表情に、侮るように見つめ返してくる。病室からは医療機器の全て、点滴までもなくなっていた。心電図や酸素ボンベも全部。先生たちの回診ももう来ない。残り少しの人生だもの、あんまり痛い思いはしたくない。
今日こそはみんな来るはずだ。
せめてシンタローやキドだけにも言わなくちゃいけない、今日こそ。頑張れ私。
……ケーキ遅いなー。
「……ねえキド。どうして僕らってこんなにテロに巻き込まれるのかな?」
「諦めろ。」
「何を?!」
ほとんど半壊したと言ってもいい屋内広場。小規模の小型爆弾の所為で、逃げられなかったイベントの観客と参加者———と何故か僕たち。
理由は簡単だ、ケーキの箱の山で足止めを食らったのだ。
しかもデパートの時とは違って、僕だけでなくキドたちも全員拘束されている。怪しまれるといけないので、キドの能力で姿を隠すことも出来ない。
何より、広場中央のステージで震えている少女。
艶やかで手入れの施された奇麗な黒髪。それと対照的に藍色に近い深海のような碧眼。雨樹くんにそっくりだ。
見た瞬間ユキかと思ったし、キドたちもまだユキだって言い張ってる。
でもあれはユキじゃない。ユキの姿をした偽物だ。嘘つきの僕には分かる。
あの人も嘘つきだ。
ええっと、この人たちはとりあえず悪い人たちらしいです。
座り込んでしまったものの、その悪い人たちは泣きじゃくる私の方を向いて『こうこつ』とした顔で「お願いします!その美声をお聴かせ下さい、我らが歌姫様!!」なんて『いみふめい』なことを言ってるんです。笑い切れてないって言ったらいいんでしょうか、笑ってるのに笑ってない。とてもとても恐ろしい。でもどこかで………?
『バケモノ』には娘が居ました。たった1人の、可愛い可愛い最愛の娘。娘の母親は『バケモノ』で、父親も『バケモノ』でした。
『バケモノ』はかつて少年の姿を模した『ニンゲン』を愛しましたが、彼には別の愛している者がありました。だから『バケモノ』は「自分でいて彼であるもの」が欲しくなりました。
欲望には不可能が必然でした。
不可能はとても不愉快でした。
不愉快だったので、たった1つの『バケモノ』は、思いつきました。
2つになればよいのだと。
それは結果的に、『バケモノ』を全く別の存在に殺し、怪物にしました。
ついでに娘も怪物になりました。
でも、それはまた別の話。