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「……あれ？」


白い白衣に、シャツに付けた見慣れた赤いヘアピン。青い花束を抱えて親しげに病室に入ってくる。彼と会うのはもしかして、高校を中退して以来？


「御久しぶりです！先生。」



きっと、
先輩たちの卒業を見送って、
シンタローとアヤノも卒業して、
よく憶えてますよ。
あの頃の恐怖、不安。
私は『ここにしか居られない』。ある意味、私の病気もそんなもの。
どの面下げて生きてるんだろう、誰の言葉を吸って生きてるんだろう。
何が欲しくて泣いてるんだろう。
何が怖くて笑ってるんだろう。
誰に気付いてほしいというの？
僕の存在の正解を、答えを、


《　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　》


未だによく解らない。
未だに尚解りたくない。
ああええっと、とりあえず何処にもいけないな。
つまりはまあ——————




走馬灯見えちゃってるこの状況からも、逃げられない感じ？




やっぱりです。この人、特に私の手を握って『しょうてん』の合わない虚ろな目で笑っている人。歳は私と同い年くらい。でもそんな子が、どうして悪い人の中に？


「………あ……の………は……なし………て……くだ……さ……い………」


喉から声を絞り出そうとしますが、やっぱり声は出てこない。どうしたら声って出てくるんでしょうか。普通の人には誰が教えてるんだろう。私もその人に教わった方がいいかもしれない。
って、こんなこと考えてる暇じゃなかった。
握られてる手がじんじんと『しび』れてきた。必死で思い出そうとしますが、どうしても思い出せないのです。もしも友達だった人なら今すぐにでも『しゃざい』しなければとても失礼なのだけれど、どうしたらいいんだろう。
私、とってもお馬鹿なんですね。


「Mshurika様……Mk……ね………いろ……！音色！！」

「………ね……い………ろ…………？」


何処で聞いたのか忘れてしまったけど、聞いたことのある名前。『ずいぶん』昔の気がする。少なくとも１０年以上は昔……？ねいろ、音色。

本当に彼は誰なんでしょう？