二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.36 )
- 日時: 2012/10/31 22:21
- 名前: noeru (ID: Szfht2P.)
「あー、なんとか窓さえ割れれば入れるんだろうけどな…。」
つい先ほどのエネからの報告からシンタローは一気に戦闘モードに切り替わった。相当頭に来ているらしい、目がおかしい。
「お、お兄ちゃんなんか様子が」
「モモは俺がユキ連れて来たら救急車呼べるように携帯握っとけ。俺が入ったら全員入って、キドの能力が『目を隠す』で、カノの能力が『目を欺く』だから…。それからマリーの能力が『目を合わせる』。そうすればユキがまた能力を使わなくても…。」
1人でぶつぶつと何か呟き、すごい速さで作戦を立てている。それを俺たちは呆然と見つめるしかなかった。やがて何か探し始めた。
「し、シンタロー、何を探してるんだ?」
「窓を叩き割れそうなもの。」
それだけ言うと、新品のPCの周りを探すのを止め、ベッドの下を覗き込んだりクローゼットの中を漁ったりして何か大きな機械を持って来た。
「あれ、お兄ちゃんそれ…。」
「もう壊れてるし別にいいだろ。」
「ご主人、ご主人♀に怒られますよ〜。」
どうやらユキのものらしい。随分年季の入った機械で、所々色褪せてしまっている。隣でカノが必死に笑いを堪えているが、これが何だかカノは知っているのだろう。
「モモ、あれは何なんだ?」
「あれですか?ユキの愛しのファミコンの亡骸ですよ。」
・ ・ ・
「だ、だれ………?」
返事はなかった。ただの空耳にしてははっきり聞こえて気味が悪い。お迎えでも来てしまったかとも勘違いしたけど違うみたい。
「雪芽。」
ドアが開錠される鈍い金属音と、聞き慣れた疲れたような女性の声が聞こえた。冷や汗が背中を伝って落ちたが、冷静を取り繕う。
「お義母さん——————————。」
「おかえりなさい、雪芽。きっと貴女から帰って来てくれるって信じてたわ。」
嘘つき、そっちが勝手に連れ込んで、監禁してるくせに……。そんな不平不満を押し殺して呑み込んだ。あまり刺激しちゃいけない。少しでも生きていたいなら———逆らっちゃいけない。
「お母さん寂しかったのよ。お父さんもずっと如月さんのお宅を眺めたりして。」
ギシギシとフローリングが不吉な音を立てて軋む。こっちに歩いて来てるらしい。思わず体が竦む。唇を強く噛んじゃったお陰で、口いっぱいに血の味が染みた。
「雪芽、おかえりなさ———」
お義母さんの声は、グシャッという破壊音とパリンという小さな可愛らしい破裂音で途切れた。