二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】オリキャラ募集終了 ( No.360 )
- 日時: 2013/03/05 21:57
- 名前: noeru (ID: h3QJSg8H)
- 参照: 夜咄ディセイブのリピート回数が病気です重症です
柔らかくて細い折れそうな黒髪。
澄んでいてどこか寂しそうな伏し目がちの紅い目。
少しだけ微笑んでいる口元。大きくて温かい掌。
すらりと高い背に、透き通った白い肌。
貴方がまだあの姿だった時。
艶やかでさらさらの綺麗な黒髪。
片目は見えず包帯が巻かれた伏し目がちの紅い目。
にっこりと常に笑ってる唇。指が細く小さな掌。
手足は長めの背に、雪のような白い肌。
[私]がまだあの姿だった時。
彼の名前はショウ。[私]の名前はユリマ。
お互いがお互いに付けた仮の番号みたいなもの。本当の名前、というか管理番号?は言い難いし、周りの名前という概念がただ羨ましかったのかな……。
鏡の向こうに彼にそっくりな青年の姿が映る。あちらからは見えないので、僕はこちら側から鏡に張り付くようにしてじっと眺める。
どうしてこんなに似ているのかしら?
僕が探しているショウの姿見かしら?
僕には理解できない。全ては運命なのかしら?
苦しいモノが胸に詰まって取れないまま彼を眺める。
ああ大好き。こんなにも大好き。どうして君はそんなにも、ショウにそっくりなの?『あの頃の』ショウに、ショウに………
今の僕があの頃の[私]と変わったように、彼も変わったモノだと思っていた。でもそれは勘違いなの?解らない事ばかり。解らないのは怖いのです。怖いモノは全力で排除しなきゃ。
ああ、でもこれだけは捨てたくないなあ。まだ手放さずに、大事に大事に心の底に仕舞って夢見ていたい。あの頃を思い出すのはとても心苦しいです、でもそれ以上に……とても幸せな気持ちになる。
彼の心も意思もまだどこかで生きているなら。
もう一度出逢う日を、ただ静かに祈ってる。
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「これか……」
ユキの病室に行く前にどうしても確かめたいことがあった。
ユキの部屋の窓はあれ以来鍵が掛かっている様子もなく、母親が居ることもなかった。ユキが倒れた時に連絡したが「あんな子は知らない」と玄関から出もせずに言われてしまった。
つまりは何が言いたいか、と簡潔に言おう。
窓から忍び込んで例の鏡を調べるのだ。
「ご主人♀の部屋を荒らすなんてご主人本当にヤバいですね!」
「誰が空き巣だよ?!鏡を調べるだけだ。それにここには長居したくない。」
「私も同感です!早くシテクダサイ」
ユキが母親に拉致された時に少し述べたが、まあこの部屋はどう見ても罪人がいるべき部屋に値する。つまりは華の女子高生のマイルームとしては最悪というか、ぱっと見て自殺者の最期の住まいって感じだ。
もちろん壁紙は大半が剥がれ落ち、紅い飛沫の跡がくっきり残っていて、俺からすれば完全なトラウマスポットだ。
それでもあの鏡だけは調べなければなるまい。
遠目から見ると分からなかったが、かなり大きなサイズの鏡だ。かなり古い年代物で、ゴシックアンティークと言ったところだろうか。真っ白であったであろう額縁もすっかり黄ばんでしまっている。しかし鏡自体の表面に目立った傷はなく、新品同様の輝きを放っていた。
もしかしたら鏡だけ変えたりしてるのかも、などと考えながら鏡の蝶使いを動かして裏側を開く。メールに書かれていた「鏡の裏側」に何がしまってあるのかは、意外と今まで知らなかった。大きく深呼吸をして、鏡を引いた。その裏の空洞には———
「……なんだよこれ」
———人形。
2体の人形が目を閉じて並んでいた。
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GAMEなんてどうでもいいの
ここから出して
[私]を返して
全部返して
帰りたい