二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】オリキャラ募集終了 ( No.385 )
日時: 2013/04/02 00:02
名前: noeru (ID: SK5u95ln)
参照: ロスタイムメモリーに色んな意味で号泣。色んな意味で



[「もう、手放すには遅すぎた。」]


淡々と憎しみが籠った目で睨みつけてくるユキは、あの夢で見た偽物ともまた違う、それ以上に冷たかった。でもあの時と違ってこれがユキの本心なのだと、すんなり受け入れてしまいそうだった。まるで台本を読み上げるようにすらすらとユキの口から溢れる不満を、ただ無意識に聴いていた。


「私はずっと憎くて、大嫌いだった」

「いつも私のことなんて邪魔としか思ってなくて」

「昔と変わっちゃった。ううん、昔から殺したいくらいだった」

「いつも上から目線で人のこと見下して、かっこつけて自分だけ被害者ぶって」

「人の気持ちなんて考えない、人の気持ちなんてどうでもいいんでしょ?」

「邪魔ならもっと早く捨ててくれれば良かったのに」

「あの部屋で見殺しにしてくれれば良かったのに!」

「人にしがみつくことでしか、人を縛り付けることでしか生きられないの?」

「いい歳してヒキニートなんてやってるくせに、人の面倒見てるつもり?」

「まだ私とアヤノを重ねて見てるんだよね」

「私が先に死んでたら、逆になってたんでしょ?結局誰だっていいんだ」

「自分が生きていくために縋れる人がいれば、誰だって構わないんだ!」

「私は子供じゃない」

「私はアヤノじゃない」

「勝手に延命治療受けさせるなんて言い張って、私の気持ちも尊重して!」


「自分の死に方ぐらい自分で決めさせて!!アヤノが羨ましい」


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シンタローが病室を出ていくのを見計らって病室に戻った。明らかに混乱しているようで僕には気付かなかった。
病室の中では、ユキが僕が出て行った時と全く動ぜず優雅に紅茶を啜っている。ダージリンの噎せ返る様な甘い香りが部屋いっぱいに広がっていた。


「……どうだった?」

「よく出来てた、と言っておく。よくああ言葉が出てくるね。」

「悪い?演じるのは昔から得意なの。可愛がられるのも嫌われるのも。」

「いつから?」

「………いつからかな?忘れちゃった。」


表情は見えるけども、絶対に目を合わせようとしなかった。きっと赤くなっているのだろう。『目を潰す』は僕には効かないのに、それすらももう頭にないくらい、さっきの会話で頭がいっぱいなんだ。


「私、後悔してないよ。」

「本当に?」


「……これ以外の別れ方なんて、知らないの。」


弱音と一緒に、零れて紅茶に波紋が広がった。


「本当に……アヤノが、羨ましいよ。」