二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.40 )
日時: 2012/11/02 22:00
名前: noeru (ID: j.8XTq8G)



教室の隅っこで、親友と2人話している少女がいた。
楽しそうに2人で編み物をしながら他愛もないお喋りをしている。
いいな、羨ましいな。
僕だってあんな風に友達が欲しい。
僕だって少女の傍にいたい。
本当なら朝も昼も夜もずっと一番僕が少女といるはずだったのに。
でもいいんだ。今は傍じゃなくてそこにいるから。
少女の中に———僕は存在してるから。


     ・   ・   ・


「な、なんなの…勝手に窓が———。」


お義母さんの驚嘆の声は途中で遮られた。誰かが耳を塞いだのだ。吃驚して声を上げたいけど、口が血まみれなのでうまく声が出ない。すると耳元で聞き慣れた声がした。


「ご主人♀!大丈夫ですか?!今ご主人たちがぶっ殺してくれますから!!」


どうやら耳に突っ込まれたのはイヤホンらしい。そこからはエネの怒ったような声が聞こえた。
きっとお義母さんに見えてない(みたい)のは、キドの能力『目を隠す』だろう。でもその後はどうするつもりだろう…?


「あ、貴女誰?!窓を割ったのは貴女ね?!警察に通報するわよ?!」


「—————ごめんなさい、ってユキちゃんに謝ってあげてね。」


マリーの小さな、はっきりした声が聞こえた。お義母さんの悲鳴が短く聞こえて、そして止まった。それから急に眩しくなって、手の拘束が解けて前に倒れ掛けた。だんだん目が明るさになれてくると、周りの部屋の荒れ様とみんながいるのが見えた。それから目の前に散らばった窓ガラスの欠片、なんて綺麗すぎる言い方、破片に映った私の真っ赤な目があった。それから固まったお義母さん。


「ほら、ユキ逃げるぞ。」


シンタローに腕を掴まれて引っ張られた。急がないとマリーの能力の効果が消えてしまう。だけど、あれ、なんでかな。動かない。動けない。目が離れないよ。


「ユキ、早く———」


「—————え、あ、そっか。なんだ、そういうこと…。」


解ってしまった。全部気付いてしまった。荒れた部屋の向こう側に君がいる。私の中にいる。君がいるよ。確かにあの日、私たちは————————————————?


「ごめん、私行けないっぽい。」


「えっ、ユキ何言ってんの?!ほらいこっ!!」


モモにもう片方の腕を引っ張られる。でも駄目だよ。動いちゃ、もう少しで、


「『私』も『僕』も、もう壊れたんだよ。」


譫言のように、戯言のように、泣言じゃないけど、受け止めなくちゃいけないことくらいは認識出来ます。壊れたものは捨てられる運命だと、幼い頃に習ってるから、これから行くのは


「ええっと、こういうときは、どうしたらいいのかな…?」


ごめんなさい、呟いて破片を拾う。これしか方法が思いつきませんでした。真っ赤な瞳と目が合いました。視界は再び紅く


『僕らは、ずっと一緒だよ』


     ・   ・   ・


視界は再び紅く染まらない私の目は潰れない代わりに腕が足が胴が顔が髪が消えていく破片を欠片を持っていた指が消えて堕ちたでもまだ消える電子のワタシは消える不必要なデータは消える誰かが叫んでるでももう聞こえない耳がない耳がないよ誰が誰だか見えない見えないよ嫌だ嫌だ嫌だ私はただ守りたくて傍にいたくてこんな未来を結末を終焉を知りたかったわけじゃないんだけどでもショウガナイヨネこうだって決まってたわけだしあれでもどうしてこうなったんだろうもしかしてもしかして私方法を間違えたの本当の最期は別なの別の終わりがまだ存在するのねえドういウこトあれ声まデ可笑しくナってキタよドウしヨうまだ終ワラせタら駄目ダよだッテコれは正シクなイ!!


     ・   ・   ・


2人は今度こそ完全に同一体になる
人間としてではないかもしれないけど
はっきりとしたことは私も消えるから知らない
幸福なんて生まれても死んでももらえないような
せっかく生きてても意味がないっていう証明
にたもの同士なんですよね、私たち
なんで私は全部忘れてたんでしょう?
れいの証明さえも出来てないですよね
なんでってそれは私は知ってもいなかったし
いまさらどうしろって

どうして彼は憎いはずの『私』を愛したんでしょうね?
まあ、知らなくってもいいかな。
私は人間の感情なんてわからないから、
知ってても馬鹿馬鹿しくなるだけですから。