二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】オリキャラ募集終了 ( No.401 )
日時: 2013/04/22 23:55
名前: noeru (ID: LXdW04Mg)
参照: アヤノの幸福理論泣けなかった なんか泣いたらダメな気がした



「幸せ、って難しいね』


赤い目で、アヤノそっくりの私が呟いていた。
もう能力も怖くない。『目を潰す』能力は置いて来てしまった。それが正しいのか間違っているのかは分からない。
きっと、誰にも分からない。知らなくて、分からなくて、それがいい。
それでいい。


『ユキらしくないね。」


逆に、やっぱり赤い目で鏡に映るのは私そっくりのアヤノ。
かといって私の目も潰されることはない。
アヤノだけが知っていた。私の「人に触れたくない」理由。
「触れると殺しちゃうの」の理由。
アヤノは包帯を外している。アヤノの腕……私の腕は赤い傷跡だらけだった。
二度と消えない、消えるまでに私が消える。


「誰の幸せか分からないから、難しいんだよ』

『そうだね。」

「自分じゃないし、じゃあ自分の行動は誰かに望まれてるのかって言われると。』

『……誰にも、望まれてない?」

「そう考えちゃうの。嫌だなー止めたいなー……じゃあ今まで何やってたの、とね。悪循環だなぁ』

『例えばユキは、誰の為に?」

「シンタロー、モモ、つぼみ、しゅうや、こうすけ。でもいっぱいいっぱい、増えたんだ。減った分。』

『……減った分、か。」

「うん。自分自身、とかさ。アヤノは違うよ』

『え?」

「アヤノは何処に居ても、一番大事な親友だから。……もちろん、先生も。』

『………お母さんのこと?」

「……もう……さぁ……理不尽だよね………アヤノ、ごめんね』

『え?なに?!どうして、急に?!」

「私が関わると悉く暗い方に、暗い方に引っ張られていく気がするんだ。だから、謝らずにいられないの。』

『……ねえ、ユキ?」

「?』

『みんな、元気だよね?」

「うん……?元気だよ、私を除けばね』

『そうだね。……良かった。ユキ、ありがとう」

「えっ?!何故に?!いやええどうして?!』

『ちょっと落ち着いて……私がパニックになってるみたいで面白いけど。」

「そ、そんなに?』

『うん。……私、みんなのお姉ちゃんで幸せだった。家族が、いっぱいいて。」

「………』

『ユキがさ、シンタロー君を突き放した時……「アヤノが羨ましい」って。」

「……そりゃあ、羨ましいよ。』


「いいなって思うよ。優しいお母さんに面白いお父さん。いいないいなって。家族で、一緒に暮らしてご飯を食べて。何気ない事で笑ったりして、いいなって。楽しそうで、混ざりたくて、羨ましくて、でももし手に入ったら、これ以上手に入ったら……怖いよ。いつか見失って、傷付いて傷付けて、そんなの怖い。私は、傷付きたくない。傷付けたくない。』

『……ユキ」

「いつかね、気付くんだって目を逸らしてた。本当はずっと分かってた。欲に負けて手に入れて、後で苦しむのは自分。大事なものは連れていけない。そう思わないと、私はパパとママの大切な娘じゃなくなっちゃう。連れて行って、そんなの無理って勘違いでも信じていたい。』

「ずっと憧れてたの。家族で旅行に行ったり、授業参観でパパとママを友達に自慢したり、毎朝お弁当を作ってもらったり、もっと言うなら……もっとずっと生きて、親子3代とかで。……ダメだ、死んじゃいそうなくらい泣きそう。助けて。』


『ユキも、家族だよ。」

『ユキだって、私の大切な家族。初めて……つぼみちゃんや修哉くん、幸助くんに会って、その後。ユキの病室で、ユキと連くんに会った時……私の大事な思い出。私たち、家族だよ。」

『だから1人でもう泣かないでよ。シンタロー君だって、もうユキの家族だよ!だってユキ、一緒にご飯食べたり、一緒に寝たり、一緒に遊んだり……それに今は、本当の弟くんもいるでしょ?どこかにお兄さんだっているんでしょ?」

「……うん。』

『だったら弱音吐かないでさ、頑張りなよ!!私延命治療とか手術とか全然分かんないから偉そうなこと言えないけど、ユキが家族が欲しいんなら、寂しいんなら欲張んなきゃ。私、家族として応援するよ。」

「……う、うう。』

『あ、あれ?ユ、キ……?「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!』泣かないで!!耳、耳痛い!!」

「うわああああああああ……あ、ありがとう、アヤノ………うああああああああんあああああああああ………寂しかったよ、寂しかったよぉ………アヤノぉ…………』



泣きじゃくる私の頭にそっと手を置いて、隣に座るアヤノが笑った。


『ふふっ、当たり前でしょ?私はユキたちのお姉ちゃんなんだから!」