二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.416 )
日時: 2013/06/01 19:23
名前: noeru (ID: hrsoCobP)
参照: カゲプロ3巻&アルバムヤバ意くぁwせdrftgyふじこlp



何もなくなった暗闇に、小さな光がぽつりとあった。旧式のテレビだ。アナログテレビ。ただ『DELETE』を画面いっぱいに映し出す。近付いてそっと画面に触れた。古めかしいテレビの、懐かしいあの画面の熱さが指先に伝わってくる。こんなに熱かったか。沈黙に響く終わりのない音。命を示す終わらない音。


『つまんない』


顔を上げるとテレビのその向こう側、平行線上に立つ見慣れた人間がいた。冬服のセーラー服、肩より長く垂れた髪、白く痩せた身体。
私、中学の時の私だった。


『あれも、これも、って手に入れて息継ぎする暇もないくらい忙しい。余命わずかな重病患者、かつて世間を震撼させた超人気アイドル、傷害事件を起こした虐められっこ、スウェーデン人とのハーフ、双子の姉弟、孤児、引き取られた先での虐待、祖父母は大金持ち、運動神経抜群、多重人格、電子世界と現実を自由に行き来して、誰もが虜になる美少女になって、人間恐怖症。それ以上、何が欲しいの?』


真っ赤な目。全部異常な私の事、誰かに頼らないと生きていけないほど弱い私の事。聞きたくない。止めてよ止めて。


『我侭で貪欲。知らなかったの?「お願い事は1つだけ」って。本当は知ってるんでしょ、「目を潰す」蛇の正しい使い道。』


ゆっくりとこっちに歩み寄って来て、ちょうど30cmくらいのところで止まった。しゃがみ込んで手を伸ばしてくる。指先や袖はドロドロに溶けかかっていた。よく見れば眼鏡を掛けている。視線が怖い、包帯を巻いていた中学生の私。よく見れば首筋にも手首にも足にも赤い跡。切り傷とも違う何か。喉に、どす黒い赤い刺し傷の跡。


『人間の、成り損ない。生まれ損ない。死ねないし生きれない。お願い事は無期限だから何も願わなかった僕は死んだのに、ちゃんと正しい私になったのに。誰も褒めてくれない。誰も認めてくれない。誰も……だれもぼくのこと、あいしてくれないじゃないか!!うそつき。みんなうそつきだった!!だからしにたかったのに。しねないんだよ、僕は。』


壊れたように怒鳴り出す僕に音が激しく乱れる。エラーを告げる。
僕の目から溢れる無数の滴はバグとなって空に消えていく。溶けた身体も綺麗に消えていく。
死んだ僕が処分されていく。


『君も祈っちゃったんでしょう?』


ゾクッと鳥肌が立った。
誰かわからない誰かの記憶が流れ込んでくる、痛い。とても痛い。小さくうめき声が漏れる。
何処か分からない場所。コノハにそっくりな瓜二つな人。でもコノハと違ってなんだか黒い笑顔をする人。その隣でくるくると表情を変えて、笑ったり怒ったり楽しそうな人がいる。彼の台詞1つ1つに様々なリアクション。いかにもコミュニュケーション能力も高そうでボキャブラリも豊富そう。誰とでも友達になれそうな理想の性格。

わたしに、そっくり。