二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.421 )
日時: 2013/06/02 20:25
名前: noeru (ID: A1ozuBPm)
参照: カゲプロ3巻&アルバムヤバ意くぁwせdrftgyふじこlp


どうせ早く終わる。人の一生なんてそんなもの。とてもつまらない人生だった。もっとドラマみたいな素晴らしい波乱万丈人生を送りたかった。
課題、教室、掃除当番、部活動、クラスメイト、先生、更には友達さえも邪魔だった。面倒だった。成績表と内申点にしか現れない自分の頑張りが馬鹿馬鹿しくなった。自分自身もまだこんな世界が大好きでそれが溜まらなく悔しくて。報われないことが、愛されないことがただ悲しくて。
だから止める。


「またね、また明日」


嘘ついてごめんね。暇だから今やる。今終わらせる。蝉の声が煩い。明後日は私と君の誕生日なのに。


「……欲しかったな、新しいワンピース」


ふわりと舞う私の小さな体を、鉄塊が潰した。最期まで欲に塗れた人生だったなぁ……とぼんやり考えていた。だけど最期の最期に願ってもみない『ドラマみたいな事』は起きた。
黒い大きな口が私を飲みこむ。
まるで魔法みたいと、ただ、そう思った—————






「貴音。」


目が覚めた時、目の前に蛇の顔があった。本当は違う名前なのかもしれないけれど、一応僕はそう呼んでいる。全体的に黒っぽい蛇は僕がここに来る前からずっといた。


「あれ?僕、寝ちゃってた。」

「大丈夫か?」

「なんで寝たくらいで心配するの、変なの。」


僕が正直に思ったことを言うと蛇は僕をじろりと睨んだ。僕は何でもかんでも思ったことは正直に言ってしまうタチらしい。それはとてもいいことだと思うけど、蛇以外に誰かに会った憶えがないからよく分からない。

ここは8月14日と15日の狭間、誰かのセカイ。僕も蛇と同じ、目の能力の蛇。よく分かんないけど僕は「目を起こす」蛇なんだって蛇が言ってた。その蛇は「目が冴える」蛇。いちいち面倒だけど僕たちは無数の蛇の中でもトクベツなんだって。


「あのね、夢見たんだよ!面白い夢。僕に似た女の子がね、すっごいくだらない理由でホームから線路に飛び込むの。暇だったんだって。ね、すっごく面白くない?!」

「馬鹿馬鹿しい」

「馬鹿だから面白いんだよ!やっぱり僕は「目を起こす」蛇なんだ、今日もついてるし、明日もその次も、きっといい夢が見られるよ」

「能力の無駄遣いだろ、それ」


呆れたように嗤う蛇に僕は笑った。素直すぎて、子供っぽい僕の事嫌いじゃないと思うんだ。そうじゃなきゃ名前なんてくれないでしょ?
蛇にそっくりになった今じゃ思い出せない過去。別にどうだっていい。だって僕は蛇、蛇は僕だから。
今までも、これからも。