二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.48 )
- 日時: 2012/11/04 19:06
- 名前: noeru (ID: 5T17/fJ8)
私……否僕は狭苦しい空間に居る。その奥の奥の奥の方に、忘れ去られたように蹲って、居る。確かに僕はここに、居るんだ。一人称が僕に戻ったのは何年ぶりか。
僕とは別に、狭苦しい空間の中でもまだ開けた前の前の前の方に、青白く発光した少女が居る。画面のようなディスプレイの向こう側の誰かと話している。どうでもいいけど、この窮屈な封を誰か開けてくれないかな?誰かが見たい。でもブツンという音と一緒に、画面の奥は暗くなってしまった。発光した少女がこちらに来るのが見えた。
「あ、あの。」
僕が声をかけると、少女はこちらを振り返った。よくよく見ると両足が途中から消えている。まあ、僕なんて右腕根元からないしな……他人のことは言えない身だ。リアルに。
「はい、なんでしょう?!」
少女は話しかけられたことがよほど嬉しかったのか、嬉々としてこちらに向かってきた。青い眼、青い髪、青いジャージ、頬にある変わった模様。僕と同じような存在なんだとすぐ判断出来た。
「この封……開けてくれないかな?狭くって……」
「はい!ちょっと待っててくださいね!!」
いそいそと不器用な手つきで封を剥がしていく。それに伴って、段々自由に身体が動かせるようになった。
「ありがとう、助かったよ。」
「いえいえ!!あの、一応お名前を聞いてもいいですか?!」
名前など知って何になるのだろう。名前、名前、名前……ここでようやく、自分の名前を忘れていたことを思い出す。他にもいろいろと忘れてしまっているようだ。ここはうまく誤魔化すか、新たな名前を自分に付けるか、彼女に付けてもらうか、脳みそを絞ってでも思い出すか……。
「僕の名前は……ユウキ、ユウキだよ。」
「ユウキさんですね?!私はエネっていいます!よろしくお願いします!!」
初対面で快く助けてくれた人を騙すのは流石に気が引けたので、新たな名前を付けた。なんとなく思いついたのだが、案外いい名前だと自画自賛させて頂きたい。
「よろしくね、エネちゃん。」
彼女に握手を乞うと、彼女も右手を差し出した。「はい、よろs———」
視界がブラックアウトした。ログアウトってとこかな……考える間も与えられずに、目の前を大きな鳥が埋め尽くした。