二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.52 )
日時: 2012/11/04 21:26
名前: noeru (ID: 5T17/fJ8)



眼を覚ますと何故か芝生の上で寝ていた。

鳥が、あんなに大きくない小鳥が鳴いてる。平和そのものなその庭は夏にしては涼しくてぽかぽか温かい。

「何処から来たの?」

笑うように尋ねる声に振り返ると、本を置いて小鳥を眺める少女が居る。白いうねる様な髪、ピンクの眼。眼を合わせるのは苦手なので、眼を覆って観察する。少女が居る部屋の中にある時計は、ずれていなければ午後3時を指していた。どうやら少女は1人ぼっちで暮らしているようだ。

「それにしても……。」

疲れた。何十年も猛暑に閉じ込められ、世界の終末劇の茶番に付き合わされてくたくたになってしまった。ここはまともに平和で、街外れの静かな場所。丁度良い、何日かここで休ませてもらおう。

家の庭から少し離れた木の陰に再び横になる。陽が気持ち良くて、教室の窓際の席でうとうとするあの眠気に襲われる。
———嗚呼、僕って学生時代あったんだ……。


少女とは別の喋り声で半分叩き起こされた。
長くお世話になりすぎた……2、3日は寝ていたと思われる。疲れが溜まっていたとはいえ、流石に人様の家の庭付近でずっと寝ていたとは。

見慣れない少年がドアをノックしている。いつか目撃した集団のようにフードを被っていた。窓の向こうには、飲み掛けのお茶を机の上にぶちまけて尚、「どうしよう…」と困惑している。そんな少女が見えない少年は、トントンと音を響かせていた。そして、ドアは開いていたらしい。

少女は酷く怯えている。眼を塞ぎ、今にも崩れそうに蹲る。その姿を見た瞬間、吐き気が込み上げて来て激しい頭痛がした。


赤黒い少女が泣きながら眼を塞ぎ、手で強く抑えている。蹲り、「ごめんなさい」と呟き続けている。少女は傷だらけだった。

ぐわんと、今度は空間でなく自分自身が歪み捻じれ眩むのを感じて、家の中で笑顔で顔を見合わせる、見憶えのある2人に。

心の中で助けを呼ぶも虚しく、視界は再び紅く染まり上がる。


『助けて—————よ……』