二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.53 )
- 日時: 2012/11/04 22:51
- 名前: noeru (ID: hrsoCobP)
僕はまたあの場所に居る。
コノハはまた2人を救おうとする。僕は頭痛や吐き気こそしないものの、いろいろ記憶が欠けてしまった。いったい何が起きてあの家の庭からここに戻ったのか思い出せない。僕は何を思い出したんだろう……?考えるとそれを遮るように耳鳴りがするので、止めた。
前とは違って、僕はコノハの隣に居る。
姿は見えないそうだが会話が出来る。
僕はどうやら本格的に存在意義の廃棄を始めたらしい。
どうでもいいや、そんなこと。
そんなこんなで僕は声だけのままで、コノハの奮闘を傍観している。
これは【彼の昔のお話】なんだ。僕はこの話の結末を知っている。
そういえば、エネもコノハも僕も、もとはなんなんだろう。
【僕の昔のお話】は、どこに行ったんだろう?
「また会いたい……」
激しい痛みで身体が捩れそうだ。今までとは比較にもならない。
誰?誰が僕を苦しめる?誰が泣いているの?!
諦めようよ、この話は本物じゃないよ。
これはコノハも知ってる終末実験の継続に過ぎないんだよ。
早くやめようよ。
僕が、壊れちゃうよ!!
コノハが見るのはヒヨリとヒビヤだ。
ここで僕が足掻こうともがこうと、見えない。
声を出せないから聞こえない。
また飛び散ったヒヨリを、ヒビヤを
いつまで眺めてるんだよ!!
眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む眩む
—————この夢は、終わらない。
「この世界はどうやら少しヤバいらしい」
何気なしに呟いてみる。もう何回目だ。この台詞を。
【彼と彼女のお話】
もちろんヒビヤとヒヨリのお話だ。
でも、僕は全く別の【彼と彼女のお話】を知ってはずなんだ。
思い出そうとは思わないよ。
思い出そうなんて思わない。
僕も、私も、それで満足だし。
『作られてしまった心ではもう言葉も届かない』
毎日毎日暑いなあ。花壇は半分枯れて、太陽のジリジリという日差しの音さえ聞こえてきそうだ。炎天下と湿気で街全体が蒸し器のようになっている。眼が揺らめく摩天楼で疲れるよ。世間一般も、僕も夏バテしたように気力がない。ぼーっとしては弾き出されて我に返るというエンドレスリピート。蝉の音も耳に焼け付くどころか焦げ付いて、何1つ変わらない日常を歪に彩る仕事に励む。
それから最近気付いたけど、僕は人間にもコノハにも見えないけど、コノハは見えるけど透けているらしい。僕にははっきり見えるけど。
また駄目だったよ。もう1度14日からやり直す。視界はまた捻じれるのを始める。僕とコノハはまた、踏み潰される未来を見ていた。コノハは半絶望的に、僕はありふれた日常の光景として淡々と受け入れる。
助けてほしい。
狂っておかしくなった彼女を。
本当に僕が望んだのはこんな世界じゃない。
僕は彼女と普通に、仲の良い双子の姉弟として生きたかった。
僕は彼女と普通に、仲の良い双子の兄妹として生きたかった。
違う。
僕は彼女と結ばれたかった。
彼女と幸せになりたかった。
今居る君は僕が造ったただの人形。
未完成の、機械仕掛けの人形なんだ。
でも戻す方法はもう解らない。
解らないんだよ—————。
『木の葉の落ちる未来の風景へと、君の眼で』