二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.56 )
- 日時: 2012/11/07 18:49
- 名前: noeru (ID: H9VWapZn)
とても騒がしい場所に居る。
広い広い場所で、誰かのコンサートか何かがあるらしい。こんな容姿でも、1人の熱狂的なファンが凄い、何らかのコアなアニメのコスプレをしているように見えるらしい。さっきから何人もの人が携帯のカメラを向けてはひそひそと興奮した様子で話している。……ライブはいいのか?
どうやらまだ開演までに時間があるようで、報道陣もまだ会場入りしていないようだ。暑さで喉が酷く渇いたので、ベンチから立ち上がって自動販売機に駆け寄った。
赤い塗料で目立つように塗装されたその機械で飲料を購入したことはあったはずだが、とても昔だった気がする。だがここで、金銭の支払い能力がないことに気付いてしまった。さてどうしよう?その時嫌でも目に入った、『右腕』なるものを見ていい案が閃いた。
我ながらいい案だと思う。それを自動販売機に接続し、端末での支払いを試みる。するとすぐにボタンが点滅し、何故か周りの野次馬(主に痛々しいファン)から謎の歓声が上がる。無理もないだろう。飾りだと思っていた『右腕』を普通の自動販売機に接続しているのだ。そんなことで騒いでいけるような楽観的な奴等を無視して、中でも歪な形をしたペットボトルの下で煌々と光るボタンをギュッと押す。ほぼ同時に下からガシャンと音がして、キンキンに冷えた黒い炭酸飲料を手に取った。キャップの部分をしっかりと歯で銜え、空いた左手で『右腕』を自動販売機から引き抜く。
さっきのベンチに戻り、ゆっくりと座りなおしてからキャップを捻って開け、甘い糖液を身体全体に流し込む。隅々まで染み込むような感覚に思わず叫びそうになるがここはグッと堪える。そして一旦キャップを締め、再び開けて一気に飲み干す。この間わずか2秒。もう一本だけ同様に飲みたいので、ぶらぶらと揺れる『右腕』を掴んで自動販売機に向かう。立ち上がった瞬間—————
「……あれ———!」
随分と懐かしい、あの集団だった。