二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.61 )
- 日時: 2012/11/09 17:52
- 名前: noeru (ID: y0sNxd87)
蒼い羅針盤がぐるぐる廻る方へ手を伸ばす。
そこに僕の居た世界がある。頼むからどうか届いて。
鬱陶しい程に流れる0と1の急流を遡ったら君に会える?
—————「ごめんね」って、、言える。
『……エネ。聞こえる?』
小さな小さな声で囁く。前の前の前の方に相変わらずいるエネは、僕の声を聴いてすぐに反応してくれた。
「ユウキ!あれからもう2か月ですよ、どこ行ってたんですか?!」
2か月間……案外短かったようだ。もっと10年ほど掛かったかと思ってしまうほどに、肉体・精神は疲労困憊している。一方目の前のエネは変わらず元気そうだ。
「んーっと、まあいろいろとね。それより聞きたいことがあるんだ。」
「なんですか?」
「此処は何処で、一体何がどうなってるの?」
簡易化すると、『僕は何も解らないから教えて』になる。
「知らないんですか?!」
「うん、思い出せなくて。」
「……此処はご主人のPCですよ。今は夜ですから、ご主人は寝てます。最近は、ずっと籠りっきりですけど———はぁ……。」
エネは一通り質問に答えてくれた後、盛大にため息を着いた。手招きされて前の前の前の方に進むと、なるほど、部屋がPCの画面から一望出来る。それからその部屋に設置されているベッドには人が寝ているようだが、完全に布団を被っていてよく見えない。
「その『ご主人』はどうしたの?」
「———実は、ご主人は高校時代に友人を亡くしているんです。ご主人とそのご友人、そしてご主人の幼なじみはいつも一緒でした。でもその幼なじみの方が2か月前、行方不明になったんです。」
「そうなんだ……大変だね。その幼なじみってどんな人だったの?」
「可愛らしい方でしたよ。この家で暮らしていて、ちょっと性格に問題がありましたけど。ご主人と仲が良くて、ユキって呼ばれてました。」
ユキ、の名前が脳裏を掠めた。ううん、人違いだよ。ね……?
「そ、その人の本名は?」
「ええっと、確か園田雪芽さんです。私はご主人♀って呼んでましたけど。」
園田雪芽、ご主人♀、頭が洪水になりそうだ。その時、はっきりとある言葉が浮かんだ。電脳体になった『私』が、最後に呟いた。あの言葉が脳内を駆け巡る。
『2人は幸せになれない』