二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.64 )
- 日時: 2012/11/09 19:20
- 名前: noeru (ID: y0sNxd87)
この場所に来るのは3度目だね。
どうやらかなり重要な鍵になるのかもしれない。ここがなんらかの事実を知るのに必要なのかもしれない。
どうでもいいけど、今まで来た時よりもずっと家も庭も新しい気がする。来るごとに時間を遡っているのかもしれない———なんて馬鹿げているんだろ。
今度ここにいたのはなんと、あの時のカゲロウ。嗤ってたあの時とはうって変わってしおらしい。一人ぼっちで、あの家に住んでいるようだ。
調査の為にここに残って、というかここからまた意識が飛ぶようなこともなく。相変わらずカゲロウは一人ぼっちだ。たまに人間が彼女を『バケモノ』と呼んでいるのを見かけるが、やはり彼女もメドゥーサのようだ。
それからしばらくして、1人の少年がやってきた。2人は愛し合い、子供にも恵まれた。幸せそうで、ここから消えるのも忘れていた頃。彼女も気付いた。少年だけがだんだん年老いていくのを。
ある日、カゲロウは消えた。どこかへ行った。
それから気付いた。2人の子供は、シオンさんだったことに。
つまりはカゲロウの娘がシオンさんで、シオンさんの娘があの女の子なんだ。でも、それがどうして僕に関わっているんだろう……?ぐるぐると混ざる世界で僕は思い出す。ここはあの女の子がいなくなった世界。
きっとあの少年が彼女を迎えに来て、その後の世界。このメドゥーサの箱庭から解き放たれたあの少女はここには来ない。誰もいない。今度は僕が一人ぼっちだね。
でもそこには居た。カゲロウがまた一人ぼっちで、蹲って居る。どうしてここに君も居るの?ここに、あの少年も娘も、貴女が守りたかったものはもう何もない。守りたかったものは———?
『許したくもない君のこと』
あの、世界終末の日の時と同じで。終末実験と何一つ変わらない。
いつも、ヘッドフォンの奥の『私』は素直過ぎるんだ。
泣き続けるカゲロウと、それを見つめる僕に、いつの日のように雨が降る。
頬を滑る雫の正体なんて、どうでもいいけど。
「「今もまだ、愛してる。」」
カゲロウと僕の声が、雨音に響く。
大好きだよ。