二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.67 )
- 日時: 2012/11/09 21:55
- 名前: noeru (ID: BIfEVcsr)
一面の星空が広がる不思議な世界。
万華鏡の中に居るような、ふわふわした感覚。ここはドコ?僕はダレ?冗談だけども、本当にそうなってしまいそう。プラネタリウムでの遭難はきっとこうなる。そうに違いない。
やがて星とは違う、細かい小さな灯りが大量に見えた。その場に留まり、瞬くことはない。代わりに付いたり消えたり、色も様々に変わっていく。
高層ビルが並ぶ街並み。少し曇った星空。気味が悪い程に奇麗な満月。ここで僕はようやく気付く。今僕は街を遥か上空から眺めている。本当に幽霊になってしまったようだ。
空を切る腕で、必死にもがく。身体と意識を全集中させる。動いてくれ、ここは無理だよ。怖い。標高が馬鹿みたいに高い。高い所は苦手なんだ。足掻いて足掻いて、やっとのことで高層ビルの1つの屋上に足を付けると、まるで郷里に帰って来たかのような安心感が思考を占領する。郷里なんて、僕にあるのか知らないけど。
僕は、帰らないといけない場所があるんだ。
「こんな夜だからこそ、耳を澄まさなきゃ聴けない、可笑しな咄なんだけどさ。」
そう話す少年は、紛れもない。いつかの集団の1人。僕に、まるで子供が友達にこっそり秘密を教えるように話す。こんな高い、柵も何もない場所で、余裕の笑みを浮かべる紅い瞳。僕の滑稽な容姿も、あの『右腕』も見えてないような笑顔だ。裏のある、心を許したくなる笑顔。
「僕が気持ち悪くないの?」
「全然。……君の右腕?って、随分変わってるんだね。」
見えてない筈がなかった。気持ち悪いグロテスクなもの程、他人の眼には異端に映って離れないものだ。薄く笑っている彼を見ていると、うっかりその真意を掴み損ねる。また手放すのは厄介だ。
「そうだね。僕も望んでこうなった訳じゃないんだけど。」
「あ、気にしてるんならごめんね。」
「悪気が無いことくらいは分かるよ。」
思わずこっちも笑ってしまう。その間に何処かに消えてしまった彼の真意を手を伸ばして探す気は起きない。いつもと同じ。どうでもいい。地上一面に輝く夜景の上で、笑っている方が気が楽だ。
「—————似てるな。」
「誰に?」
「気にしないでいいよ。君にちょっと似てた友達を思い出しただけ。あ、でも僕は友達と思ってるけど、彼女はそうじゃなかったかも。」
彼が語っている人物が浮かぶ。紅い瞳が揺れる。
「……大丈夫だよ。『私』だってきっと、カノのこと、友達だって思ってた。と、思う。」
久しぶりに、心から笑ったかな。
眼を大きく見開いて驚く彼の眼に、僕はきっと『私』と重なって見えるんだろうか。
じゃあ、彼の眼には『私』が落ちていく姿に見えるんだろうか。