二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.68 )
日時: 2012/11/10 01:13
名前: noeru (ID: mqlDl9Nn)



窓からはあの日と同じ、赤い月が覗いている。

荒れた部屋。ゴミクズが散乱している部屋。幼い子供の部屋。その部屋で僕が見る幻影は、会いたくて堪らない過去。


自然と涙が零れる。頬をただ濡らす。
幸せと不幸せの境界線さえどろどろに溶けてなくなった。
きっとあそこに行けば、僕は全て思い出してしまう。
それでも—————




—————君のもとへ行きたい……。



「狂おしい愛おしい足取りは 次第に破滅の追想曲へと」

ぽろぽろと堕ちる滴を止めることはしない。

「君を僕を私を誘い やがてその先には永久の悠久が」

拭うこともしない。


「あの頃の『私』は幸せでした 君の笑顔が隣にあって」

「君と手を繋いで笑いあうことが 『私』の生き甲斐だったから」

「錆び付いた僕に 『私』が押し込められた」

「矛盾など可愛い程に捻じ曲がった論理は」

「君と『私』を引き剥がしました。」


隣の部屋で、また君は籠っているのだろうか。
また『私』や君を思って、泣いているのだろうか。


「———ごめんなさい……。」

君への謝罪。『私』への懺悔。

誰が悪かったんだろう。誰が悲しんだんだろう。誰が誰を思って泣いたんだろう。どうしてこんな未来が生まれてしまったんだろう。

何が悪で、何が善か。簡単じゃないか。

君と過ごした一秒が


なによりも大切だから—————。


「私は大丈夫だから。」

聞こえないはずなんだ。でも声に出す。君に届くように。

「私はアヤノの為に、この姿を選ぶことにしたよ。」

いつものように、話しかける。

「いつか、私の望んだ世界が出来るために……。」

嗚呼、本当に


こんなに距離は遠かったんだ。




さよなら