二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.70 )
日時: 2012/11/10 11:15
名前: noeru (ID: HuULwKXc)



私は歩く。君を探して。

もう会えるはずのない君を探すのは、よく見る夢だった。

私があの日、君の手を離していなかったらきっと私が望んだ世界があった。会いたい、会いたいよ。もう1度笑ってよ。ごめんなさい。何度でも謝るから。石の道を歩く私は、本当に一人ぼっちだった。

退屈そうに、楽しそうに笑う君が大好きだった。
恋愛感情じゃないけど、親友としてまだまだ一緒にいたかった。
君が私の手を、私が君の手を、離したから。

潰れる、潰した、潰れた、潰す、潰された、潰してしまった、潰されてしまった、

君の為に?私の為に?誰の為に?

私が殺してしまった。

溺れていたんだ。毎日毎日死んだように腐水の中で、死んだサカナのように漂うだけの私。もがくことも抗うことも足掻くこともせずに、限りなく深く、もはや禁忌の域に達するまでに———溺れていたんだ。

君が私を救ってくれた。違う、掬ってくれたかな。

君がいなくなって、私を操る糸を緩めてくれる人は居なくなった。切ってくれる人なんて居るはずない。希望を祈望して、それでも足りないと破壊する世界観。崩れてもまだ残る原形。お姫様にように扱き使われて、待ってれば魔法使いがやって来る訳じゃない。
大体———ガラスの靴なんかじゃ糸は切れないじゃないか。
報われない私。居なくなった君。君の消失を嘆いた彼。


『こんな世界つまんないでしょ?』


いつも通り、あの場所であいつが嗤う。カゲロウじゃない。正真正銘、私自身。嘲笑う、私の世界の狭さを、醜さを。お前さえ居なければ、あの日、君の手を解いたのは。


[さあ、ちぎってしまえ]

あいつに掴みかかる。左手をあいつの首に掛けて、思いきり締めてやる。あいつは嗤ったままだ。何故か私が苦しくてたまらない。当たり前だよ、あいつは私なんだから。

———私の眼に映ったのは




紅い一滴の涙拭う







消えたあいつの向こう側に居る、『左腕』のない私にそっくりな弟—————












[いしのみちをきょうもまた あなたがのこしてくれたひびのうえで]