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やっぱり悔しいな。夢で終わらせられないでしょ。君になりたい。君みたいにもっと強く。造られた強さじゃなくて。

前にしか進めない。歩兵でも。


———なんてかっこつけてるうちに、また負けました。最後の駒を失ったのは、これで何回目だろう。

「そろそろ茶番ももう終わろうか。」

「えっ！ま、まだ……まだ勝ってない！！」

急に言われて焦る。飽きちゃったのかな、でもまだ勝ってないし……このままじゃ悔しい。夢に出来ない。裸のキングを蔑んで小さく呟く。

「君はもういらないものだ。」


次で—————勝つ。


やりきれない程悔やんで、負けたという負の感情が交差する。募る。またキャリーオーバーを、深く抉るように繰り返す。シナリオも脚本も方向性も何もかも無視して。崩壊寸前の最期に———区切りを。

チェックメイト、っていう君の声が脳裏に焼き付く。
ずっと負けて居たい。ここに居たい。
私に別れを告げることを、まだ君に許されたくない。
それでも……指差すのは、もう止めて。

駒を進める。今までわざと負けていたような気がする。
どんどん追い上げる中で、それが近づいているのが解る。でも———君は笑ってる。楽しんでくれる。
もう考えることも出来ずに、理解不能のまま視界は白昼夢へ引きずり込まれる。君はダレ？私のナニ？知ってるのに、胸の中で君に言わなかったことが、言えなかったことが詰まって消化不良を起こしそうだ。

苦しくて夢は覚めず　楽しくて夢は冷めず
でもまだ君に挑んでる　挑んでいたい　ずっと君と、変わらずに

それがきっと、叶わない理想でも