二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【カゲプロ】人間冷凍ショコラ【オリジナル】 ( No.9 )
- 日時: 2012/10/20 20:03
- 名前: noeru (ID: GjhzkEUG)
「…えっ、ご主人♀っ?!どうしたんですかぁっ?!!」
「…?」
「か、鏡、鏡見て下さいっ!!」
極端に驚くエネに言われるまま、携帯を充電機に繋いでミラー機能を作動させる。映っていた私は…。
「—————は?」
泣いていた。元の色に戻った瞳から久しぶりに零れ落ちた雫がぽろぽろ、って。生暖かく頬を滑って、容赦なく指先が湿っていく。気持ち悪い。私もまだ人間なんだ。あんな———下等種族なんだ。
「 」
ガシャァンッと大きな音を立てて携帯が地面に叩き付けられた。本体と床に傷が付いただけで壊れていない。私はこの2年でかなり弱っていたらしい。けど、怒りは収まらない。
「僕、僕ははあんな奴らと同じじゃない—————っ!!」
そうだ、僕は違うんだ。あいつとは違うんだ。
あいつが誰かなんて思い出せないけどあいつが憎いのは憶えていた。
あいつさえいなければ僕はこうはならなかった。
アヤノだって死ななかったかもしれない。
いつもあの場所で僕を嗤いやがって。
いつの間にか握っていた鋏で、『ユキ』の掌は血染めになっていた。
・ ・ ・
ユキが一人で籠っている部屋から、何かの破壊音がした。エネの悲鳴が聞こえた。
「?!」
「ご、ご主人〜っ!」
シンタローの携帯が明るくなって、一面にエネが映し出された。青ざめて震えていて、尋常じゃないことが起こったことははっきりと分かった。
「え、エネ、何が、あ、ユキは?!」
「それが、そのご主人♀が、あのええっと暴走してます!!鋏持って、掌が切れて、怪我してます!酷い怪我です!!これからまた怪我するかも…!」
それだけ言うとまた部屋から叫び声と悲鳴が上がった。それから泣き声と、痛みに悶えるユキの声が続いて響く。シンタローが小さく舌打ちすると走って部屋に行ってしまい、俺たちは取り残された。
「…キド、どうする?」
「どうするも何も、俺たちはこの家の部屋の配置を知らないから何も出来ないだろ…。」
その後何度か悲鳴が上がって叫び声がして怒鳴り声がして泣き声も聞こえて、少し落ち着いたシンタローとユキが戻ってきた。ユキの掌は大きく裂けて、直視も出来ないほど痛々しい。虚ろな瞳は涙の粒で溢れていて、ただ茫然と治療を受けていた。
「おいシンタロー、何があったんだ?」
「いや、別に。部屋に行ったらユキが立ち尽くしてずっと『あいつと僕は違う』って泣き叫んで鋏握ってた。リスカとかじゃなくて、ただ単に鋏を強く握ったから切れただけだし。」
「…ふうん。」
『うん、私がやったらしいよ。』
『あいつと僕は違う』
鋏を握るユキを想像すると何故か、彼女は笑っているようにしか見えなかった。