二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【魔法少女】嗚呼、きっとそれは【まどか☆マギカ】  ( No.16 )
日時: 2012/11/25 18:18
名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: IoxwuTQj)

朝食時。
あー、というタツヤの幼声と共に振り下ろされたフォーク。そのまま赤いプチトマトを貫くかと思いきや、先端の丸いそれは刺さらずに反発する。そして卓上を転がり床に落ちる・・・・・・

「ああっ! と・・・・・・。セーフ」
のは免れたようだった。ママが手に持っていたトーストを皿がわりにし、落下する丸い野菜を受け止めたのだ。
「残さず食べてねー」
「あいー!」

ぷすっ。もう一度トマトを突き立てようと試みれば見事に成功したようだ。一安心し、私も止めていた手を動かす。
今にも崩れ落ちそうに柔らかいレアオムレツを一口大に分け、ケチャップソースのかかった半熟の卵と口へ含む。一回、もう一回と咀嚼するたびに卵の柔らかさを感じ、甘味を味蕾が傍受する。その二つの快い、私の心と腹に満足感を与えるのだ。

しかし濃厚な味ゆえ、飽きてしまうこともある。そうならないように、ミニトマトを合間に頬張る。つやつやとした果肉に歯を立てると閉じ込められていた水分が弾ける。プチトマトの新鮮さと酸味でオムレツを最後まで味わうことができるのだ。

「コーヒー、おかわりは?」
今まで私たちの食べている様子を嬉しそうに見守っていたパパの発言。どうやらママに尋ねたらしい。

「あ〜・・・・・・いいや」
ちら、と時計に目を移すママ。そろそろ出勤しなければならないと判断したのだろう、白いカップの中に注がれたコーヒーを飲み干して、斜め読みしていた新聞を畳む。

「さて、今日も頑張りますか」
ちゅ、とリップ音が響くのはママが達也とパパに欧米風の挨拶を交わしたからである。どうやらママはこの行為によって二人から元気をもらっているらしい。それは構わないのだが、毎日その光景が繰り返されると見てるこちらが恥ずかしくなってしまう。

ちなみに私とは手をお互いに叩く——所謂ハイタッチというものだ——という動作で、お互いのバイタリティを高め合う。今日もお互いに手を勢いよく重ね、乾いた音を鳴らした。
「おっし、んじゃ、いってくる!」
「いってらっしゃーい!」
語尾に音符がつきそうなイントネーションとともに見せた微笑み。活気のある彼女を私たちも手を振り見送る。そしてママの姿が完全に見えなくなると、パパが一言。

「さ、まどかも急がないと」
「え、あ、うん!」
何のことだろうと一瞬理解できなかったが、学校のことだと思いだす。時刻は7時45分、家を出発しなければ遅刻してしまう。
まだトーストを完食していないが仕方ない、学校に到着するまでの間に食べてしまおう。

口に焼きたてのそれを挟み、私——鹿目まどかは張りのある声で言葉を放った。
「いってきまーす!」
勿論、咀嚼しているものは落とさずに、ね。


第2話
(鹿目家の朝)



やっと更新できた・・・!