二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【魔法少女】嗚呼、きっとそれは【まどか☆マギカ】  ( No.40 )
日時: 2013/01/05 11:05
名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: XiewDVUp)

第5話


授業の間に設けられた貴重な休み時間。過ごし方は友人と会話をしたり、机に伏せて疲労を回復させようとする者さまざまだ。しかし、今日に限ってあまりそういった様子は見受けられない。

「暁美さんて、前は何処の学校だったの?」
「前は部活とかやってた?」
「運動系? 文科系?」
「すごいきれいな髪だよね、シャンプーは何使ってるの?」
 
それもそのはず、転校初日の美しい少女・・・・・・暁美ほむらの前に集まり質問を次々と投げかけているからだ。
 転校生、というものは謎が多い。自己紹介という時間も設けられていたが、伝えられることが限られている。だからもっと
知りたい、話したいという欲求が湧き出る。足を運んで馴染みのない生徒の元に人が近寄るのは必然のことなのだ。
 特にほむらの場合は他愛もない言葉で挨拶を済ませてしまったのだから、更に知識欲が煽られ人が群がるのである。

「東京のミッション系の学校よ」
「部活はやってなかったわ」
「メ●ットよ」
 普通、これだけ一気に質問攻めを受けると混乱してしまう人が多い。慣れない場所への緊張や不安が主な理由だ。いくら社交的な性格の人間であろうが、これでは思考が乱れてしまう。
 しかしほむらは冷静に問われた事を順に返答していく。まるでその尋ねを予想していたかのように、取り乱した様子は一切見せない。

「不思議な雰囲気の人ですよね、暁美さん」
 そんな光景を眺めていた仁美がぽつりと呟く。
「ねえまどか、あの子知り合い? 何かさっき思いっきりガン飛ばされてなかった?」
「いやあ、えっと・・・・・・」
 どう説明すればいいのか迷っているのだろう、まどかは苦笑いを浮かべてさやかの質問を濁す。
さやかは腑に落ちない表情をしていたものの、まあいいかとそれ以上は考えるのをやめた。

「ごめんなさい、何だか緊張しすぎたみたいで・・・・・・。ちょっと気分が・・・・・・」
 頭を抑えて傾けるほむら。噛むことなく言葉を吐き出せても、内面はそうでもなかったようだ。
「保健室に行かせてもらえるかしら」
「え? じゃああたしが案内してあげる」
「あたしも行く行く!」
 大丈夫、まかせてと微笑むクラスメイト。その中の一人が具合の悪い彼女に手を差し伸べるが・・・・・・
「いえ、お構いなく」
 きっぱりと凛々しい声で引率を断った。クラスメイトはまだ心配そうにしていたが、彼女らに頼む気は
端から無いようだ。

「係りの人にお願いしますから」
席を立ち、おぼつかない足取りでふらりふらりと歩みを進める。足を踏み出すごとに、少し癖の付いた黒髪が左右に揺れる。

「鹿目まどかさん」

髪の動きの停止は、足を止めたことを意味する。ほむらはまどかの前に立ち、揺れている髪をまっすぐにとどめた。
「貴方がこのクラスの保健係よね」
言葉は疑問系で、けれどイントネーションは断定的で。

「えっと・・・・・・その」
「連れてってもらえる、保健室」
保健係の声を待たないまま、彼女は願いを強いた。