二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.1 )
- 日時: 2012/11/02 07:01
- 名前: ウルフラム (ID: aNM7VPh4)
西暦2029年。突如発生した未知のウィルス、通称〈アポカリプスウィルス〉の蔓延によって引き起こされた大事件「ロスト・クリスマス」から10年後の日本。荒廃し、無政府状態となった日本はアメリカ軍を中心とする超国家組織GHQの統治下に置かれていた。
桜満集は世間やクラスメイトに対してどこか冷めた視線を向ける男子高校生。周囲との微妙な距離を保ちつつ平穏な日々を過ごしていた彼はある日、お気に入りの場所である廃校舎で憧れの歌手・楪いのりに出会う。傷を負った彼女はレジスタンス組織「葬儀社」のメンバーというもう一つの顔も持っていた。集はGHQから最高機密「ヴォイドゲノム」を盗み出した楪いのり、葬儀社のリーダー恙神涯らと関わる中で「ヴォイドゲノム」に触れ〈王の能力〉を宿してしまう。
力を手に入れた集は、「葬儀社」に協力しGHQを退ける。しかし「葬儀社」への加入要請は断り、元の日常に戻る道を選ぶ。しかし彼のクラスにいのりが転入してきたことから、集は否応なしに「葬儀社」に加わる羽目になり、彼らの活動の中核となってゆく。
この物語はその後の苦難の物語である。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.2 )
- 日時: 2012/11/02 21:38
- 名前: ルリ朱雀& (ID: J/cl5oqb)
こんばんわ!!
ギルティクラウン=いのり様というほどのいのり様愛しているルリ朱雀といいます!!
ウルフラムさん!!
あの終わり方でもいいですが、別でも全然OKなので見ます!!
小説楽しみにしています!!
では、頑張って下さい。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.3 )
- 日時: 2012/11/02 23:06
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
ありがとうございます!ルリさん!
がんばります!!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.4 )
- 日時: 2012/11/03 00:57
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
203X年。日本国、東京。
海辺からのものであろう心地よい風が、ベンチに腰掛ける少年の髪を静かに揺らす。
少年の周りには防風林の役目を担う森が広がっているらしく、草木が重なり合う静かな音色が耳に入ってくる。
もしあの時の自分がこの景色を観たらどんなに驚き、感嘆し、悲しみ、涙するのだろうか。
あの頃には存在もつかなかった、この感覚を。
GHQさえも存在しない、清楚な姿を取り戻した、この国を。
自分の歩む道の、「正しさ」、「愚かさ」、そして引き換えにした心を。
無くしてしまった人を。
そして、
自分の「罪」を。
僕は……、想えるだろうか。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.5 )
- 日時: 2012/11/04 17:13
- 名前: ウルフラム (ID: zx5jjBXL)
風に凪いだ茶色いであろう髪に軽く義手の右手で触れる。義手特有の冷んやりとした感覚が額を通じて伝わると、少し顔を俯向けながら、その右手を下に下に下ろし、ズボンのポケットにそのまま手を突っ込む。
刹那、機械と機械が擦れるような何とも言えない摩擦音が右手を通じて、奇妙な波長で全身に響く。
しかし、そんな些事はとうに慣れてしまった。
傍らにポツンと置いてある白杖とともに、そして、一人の少女がいなくなってしまった間に。
「懐かしい、な…」
あの右手の感触、今でもはっきり覚えているだろうか。
「心」という名の青い光に触れた、あの感じを。自分の右手が相手の気持ちに暖められているような、筆舌に尽くし難い感覚を。
集はポケットの中にある白色のコードレスイヤホンを右手で探りながら取り、ゆっくりと右耳に付ける。
何気ない動作で耳に掛かっている髪を後ろの方に持っていき、あらかじめワイヤレスイヤホンに記憶させている、とある歌い手の声色に耳を済ませた。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.6 )
- 日時: 2012/11/05 07:22
- 名前: ウルフラム (ID: KoErH5Nm)
「……………………」
心が安らぐ。
時々時間を見つけては、この海辺のベンチに腰掛けながら、彼女の歌声に耳を傾けていた。
この海は。
正確には四度目の黙示録、それのスタート地点。
もしくは、
集のかけがえのない人の。
復活の祭壇、だったのかもしれない。
そこは集自身が最後に「心」に触れた場所であり、「罪」を背負おうとした場所であり、彼女と別れた最後の場所であり、そして。
全ての始まり、
終わりであった。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.7 )
- 日時: 2012/11/05 20:52
- 名前: ウルフラム (ID: zx5jjBXL)
「ピーッ」
歌い手の声色に耳を済ませていると、突如として右耳のイヤホンから奇妙な電子音が流れ出し、静かな歌声がかき消される。
「うっ…。……何だろ。調子悪いのかな、このイヤホン…」
このイヤホンのタイプは、右耳のみに着装するものであり、左耳のイヤホンとの併用が出来ず、片方のイヤホンに異常がでても、もう片方のやつで聴こう。とはいかないタイプとなっている。
そのため集は仕方なく、義手の右手で右耳のイヤホンを外し、端に出っ張る電源スイッチを押し、ONからOFFに変更する。
義手の手探りでスボンのポケットを見つけ、それを適当にその中に。
顔を海辺があるであろう場所に向け、大きく深呼吸する。
視界にはなにも映らない。
しかし、そのことに関して後悔など毛頭していないし、それよりか感謝さえしている。
あの時、最期に彼女が残してくれた「罪」を自分が背負うことが出来た。ウイルスにより体がキャンサー化され、視界が真っ暗になってもなお、自分を想い、守り、信じてくれていて、自分に言葉を伝えてくれ、自分の傍に居てくれ、そして今でも居続けてくれている。
そんなことを考えていると、海辺から吹きつける心地よい海風や、草木が揺らめく音を感じるだけで、自然と頭の中にその風景が具現化される。
「さてと…。行こうか…、母さんのとこに」
集はベンチにかけているであろう愛用の白杖を義手の右手で取り、それに重心を乗せてすっとベンチから立ち上がる。
家までゆっくり行こうか。
何せ、時間なら幾らでもある。
あの時とは、違うんだから。
集は白杖で海辺に設置されている柵まで一、二歩で歩くと、杖を持っていない左の手で、太陽に照らされた黒光りする柵をつたい、次なる一歩を踏み出した。
これからの
更なる罪へと。