二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.13 )
- 日時: 2012/11/09 21:41
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
「ただいま」
誰もいない家に、虚しく集の声が響く。
春夏は昨年度から内定が決まった、科学の最先端を先ゆく『ロスト』という企業に現在勤務している。春夏の頭の良さと、人柄を買った男社長様からの特別選出なそうだ。集は始めの頃は、この会社に就職した春夏を少し心配していた。表向きは男社長様が買ったのは頭の良さと、人柄なんだろうが。裏側では春夏の女性として非常に整った顔立ちに惹かれたんではないかと、集もあの時は久々にイラついたものだ。
春夏自身、GHQ所属のヴォイドゲノムを培養するセフィラゲノミクス主任研究員としての仕事が蒸発してからというもの、大きな負担を背負っていた。
一つ目は、仕事の問題。
春夏の仕事は文字通り自然蒸発したため、集が盲目になってすぐの時は春夏に仕事などなかった。
そこで、春夏は。一人の少女が全て背負った「罪」、つまりはアポカリプスウイルスの後処理及び、その他の復旧復興の目処がつくと、既に復旧が済んでいる小さなコンビニでアルバイトを始めた。
最初は集も反対した。
自宅に帰るなり平気で下着姿でうろつくラフな性格の持ち主が、人様の、それもバリバリ公共の、決して上品とはいい難いコンビニで働いては、迷惑がかかるだけだと。
しかし、春夏の本職を見つけるまでという条件付きで、結局その日の会議は終了した。
今になって思えば、あれも集、自分のための行為、だったのかもしれない。少しでも、集に楽をさせてやりたいという、彼女の気持ちの表れ、だったんだろうか。
二つ目は、集の問題。
集が盲目となってからというもの、春夏はその世話を愚痴も何も言わずやってくれていた。
時には、集のいる部屋とは違う部屋で、春夏が一人啜り泣いていたということもあった。
しかし、そんな時に春夏に声をかける、なんてことが出来るはずもない。
春夏は自分の為に、涙を流してくれている。集を想って、涙を流してくれているのだ。
そんな彼女に、「なんで泣いているの?母さん」などと聞いたら、必ず春夏は集のことではなく、別の答えが帰ってくる。
それも、さも集のことで悩んでいるのではなく、春夏が自分自身のことで迷っている風に。
涙を流しながら、答えるのではないか、と。