二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.14 )
日時: 2012/12/05 19:11
名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)

「母さんは仕事か……」

集は白杖を玄関の棚に斜めにそっと立てると、左手で家の壁に触れる。
その左手に重心を乗せ、バランスを安定させる。義手の右手で茶色の革靴の底を掴み、下方向へ。両方の靴を脱ぎ終わると、左手で壁をつたりながら慎重に前に進む。

「母さん」

返事がない。更に前へ進む。
リビングに入るためのドアを義手の右手で開け、もう一度同じことを呼びかけるが、反応は無かった。

「おかしいな…、今日はハレの誕生日だから、5時までには母さんも帰ってきて欲しいって言ったのに…」

現在時刻を確認するべく、集は自分の左手に固定されている古き良き腕時計の画面を、義手の右手で軽く触れる。
機械と機械が触れ合う機械音がチッという風に小さく聞こえたと同時に、音声アナウンス機能が作動し、現在時刻をボーカロイドといわれる音声合成ソフトがとてもはきはきとしたとは言えない声で、集に伝える。

「…ガッ……ッ…、ガー………げ…、ガッ…時こ……は…ガッ…ッ、5………ガッ…02、ガッ…ふ……ガッajptkm'468qnwt\qn'p○86gjwugj58mtpjtpjXtn○wtymjpmk.567<4、……エラーが発生しました。…エラーが発生しました。強制的にダウンします…。強制的に、ダウン、しま、す…」

集の左手の時計からピーッというエラー音が鳴り響いた。だが、その奇妙な音はほんの5秒程で収束し、リビングに安息が訪れる。

「どうしたんだ…、この時計。さっきのイヤホンだって……、不運すぎる…。何か電子機器妨害の電波が…。いや、この時計は電池式だし、電波時計みたいに随時時刻更新するようなタイプじゃないし……」

集は、盲目の目を一度力をこめて瞑り、考えた。
推測できることは少なからずあるが、今は。



安否を、確認しなければならない。