二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.17 )
日時: 2012/11/17 21:09
名前: ウルフラム (ID: QxIgp5vM)





何かがおかしい。

静かな東京の街を、車椅子をツグミに引かれながら篠宮 綾瀬はそう感じた。
さっきから携帯タブレット端末機の調子が悪いのか、画面が砂嵐状態になっており、使うに使えない状態となっている。
それだけなら、特に違和感は覚えない。ただの機械の故障だと、そう判断してしまうだろう。
しかし、そんな判断を鈍らせる状況が今現在起こっていた。



「ツグミ。私のタブレット、ちょっと診てくれない?なんだか、調子悪いみたいでさ、画面がザーッてなっちゃうんだ」


そう言いながら、丁度自分の掌サイズ程度のタブレット端末機を左手でツグミに渡す。

「どれどれ…………、う〜ん……。故障、かなんかかな。電源とスリープんとこ押しても何にもなんないし……、とりあえず充電を一時間して、iTunssに接続してもダメだったら、一度もとの携帯会社に持っていくか……。それか、速くっていうんだったら、このまま私が預かって修理してから速達かなんかで綾姉んとこ送るよ。それじゃダメ、かな?」

ツグミは携帯タブレット端末機を舐め回すように見つめると、それを左手で持ち、右手で綾瀬の車椅子を引きながら言った。

「そっか。……別に急ぎって訳じゃないし、どうせ帰ってもツグミと一緒に勉強するだけだしね……。今は4時、か。…それさ、私が勉強してる間までに直せる?できることなら、そうして欲しい」

綾瀬がそう言うと、ツグミは少し顔を歪ませ、苦笑いしながら言う。

「ハードル高いよ、それ。……まあいいや、大学は綾姉ん家からいってもいい?出来れば、シャワーとかも貸して欲しいかも。それでいいなら、喜んで綾姉のタブレット直してあげるよ」

今度は、綾瀬が渋い顔をしながら後ろを向き、ツグミを見て言う。

「……それって、さ。……私ん家に泊まらせてくれって、そゆこと……?」

先程とは打って変わった満面の笑みを浮かべるツグミは、後ろを向いた綾瀬に笑いかけながら、車椅子のハンドルに力を入れ、足を動かす。

「しょゆことっ!!てなことで……綾姉ぇっ!!飛ばすよっ!!」

ツグミの力で一気に車椅子の速度が上がる。車輪がカタカタ揺れながら、アスファルトで舗装された道を二人で駆け抜ける。

「こんなに力……、あったんだ」

車椅子に乗って俯きながら小声で綾瀬が言う。

「もう……。負けちゃってるのかな」

綾瀬の左手の腕時計が藍色のような何かによって微かに光る。
この事は、まだツグミに言うべきではない。まだ、その時ではない。ツグミにそんな重たいものを背負わせる訳にはいかない。





「私の「罪」は、私で償う」



また綾瀬は、小声で言った。




自分にだけ、言いつけるように。