二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.27 )
- 日時: 2012/11/23 14:04
- 名前: ウルフラム (ID: fOW/FHMu)
#24 連動:Vulgarity
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.28 )
- 日時: 2012/11/25 13:03
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
- 参照: http://www18.oekakibbs.com/bbs/oe-kakiko/data/1594.jpg
いやはや、少しですね、あんまり調子が良くないといいますか、結論といってですね。
風邪かなーと。
でもってですね、期末考査がせまってるということもあり、ある程度の成績は保持しないといけないので、少しだけですが、更新が遅れてしまうということもあります。
部活にいったのがまずかったかなと・・
というわけで、少しの間ですが。
こちらの作品をどうぞよろしくお願いしたしますっ!
では。
といってはなんですが、うえのURLの拝見もどうぞよろしくお願いします。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.29 )
- 日時: 2012/11/25 19:40
- 名前: ルリ朱雀& (ID: J/cl5oqb)
風邪ですか…!!
お大事にです!!
早く治して、頑張って下さい!!
期末考査ってやつも頑張って下さい!!
無理せずに更新して下さい!!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.30 )
- 日時: 2012/11/25 20:46
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
ありがとうございますルリさんっ!(T ^ T)
えっとですね、期末考査というのは期末試験ていう意味です。
うちんところの学校では期末試験を期末考査というもので、つい。
まあそれはおいておき、ありがとうございますルリさん!早めに戻ります!…
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.31 )
- 日時: 2012/11/25 20:48
- 名前: ルリ朱雀& (ID: J/cl5oqb)
ご丁寧に、期末考査の説明をしてくれて…。
ゆっくりと、体を休めて無理せず頑張って下さい!!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.32 )
- 日時: 2012/12/01 00:11
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
- 参照: http://www18.oekakibbs.com/bbs/oe-kakiko/data/1594.jpg
すみません、忘れてまして。参照1000ありがとうございます!なんかまだ咳がでてるのは、今流行のマイコプラズマ肺炎なのでしょうか・・。とにかく、気合で治します!とゆわけなので、もう少し休みますね。期末試験、頑張らないとですし。では!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.33 )
- 日時: 2012/12/05 21:33
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
集は茶色の古風なセーターを着たまま、リビングのソファ付近にある縦長の服たてに手探りで左手を延ばし、黒単色の腰までのコートをガッチリと掌で掴むと、驚異的なスピードでそれを羽織り、リビングの白壁に手を当てながら玄関口へと急ぐ。
「うっ……、寒」
白杖を右手にはめ革靴を履きドアを開くと、秋終盤のこの季節には珍しく、黒コート越しにも伝わるような肌寒い風が吹いた。
「マフラーも…………。いや、これでいいか」
集は羽織っている黒コートを左手で軽くたなびかせ、ズボンのポケットに無造作に入っているある物に手を延ばし、それが在るということを手だけで確認すると、家の扉の方に向き直り、3秒間静止する。
現在では、もう既にコンピューターによる顔認識の扉の開け閉めと、アナログな鍵による開け閉めの併用は一般化されおり、集と春夏の住むこのマンションの一室でも、そのシステムが採用されている。集が盲目になってから、鍵穴に鍵を差し込むことによる扉の開け閉めが困難になって以来、春夏の提案により設置されたこのシステムのおかげで今となっては、春夏が傍についていなくても一人で外出できるようになり、なにより「自由」になったのが一番の感謝すべきことだったのかもしれない。
「ロックが……完了、しま、し、たガッーーーー……」
電子式の扉からエラー音が鳴り響く。そうして、静寂が訪れ。
「……………………前の鍵、持って来てよかった……」
集はそう今の状況を楽観視しながら、溜息を深くつき、扉の前から離れた。
次に帰れるのはいつ頃だろうか。
そう思いながら集は盲目ながらに、右足を大きく踏み出した。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.34 )
- 日時: 2012/12/10 16:22
- 名前: 多寡ユウ (ID: mVHy..WT)
午後4時02分39秒。
ある程度の高さがあるビルその6階のとある一室で、頬に傷のある灰色スーツの若い男と、年がかなり過ぎていると思われる中年小太りの女性が、膨大な書類の山が幾つも連なるデスクを挟みながら、笑顔を交え談笑していた。
傷の男は真っ直ぐ背筋を伸ばして立ち、それに対し女性はシステムデスク特有の高めの椅子に腰掛けている。
「はいっ。この方向で、はい。宜しくおねがいします。…………っ、すみません社長、少し外してもよろしいでしょうか。……はいっ、すみません。では」
その最中、頬に傷のある男の右胸のポケットからタブレット端末型の通話機器が激しくムーブ音をたてた。
男は、自分より一つも二つも上司である小太りの女性に一礼と断りをいれ、彼女の部屋を一時的だが静かに出る。
『遅かったですね、いつもは早く出るのに。……まさか、依頼されて逆探知でも?』
いつもの奴からの電話。ここ最近、この人物からの連絡が多かった事もあり、少々憤りを感じながら応対する。
「んなワケあるかっ!……第一、なんで俺があんたの敵になんねぇといけないんだよ。理由がないだろ理由が。……ほら、あれだよ。ウチんトコのお偉いさんからの呼びたし。……一応、これでも信頼、置かれてる方だからな。時々相談のってくれーつって、呼ばれんだよ。それで…」
そこまで言った後、電話越しに相手の深いため息が伝わって、その直後、妙に鬱陶しそうな声が右耳に響いてくる。
『少々周り口説いです。簡潔に言うと、「呼びだされてる時に自分の電話が鳴った」。これでいいですね』
なんともいいかえせない男は、一応の肯定と否定を通話中の相手に向ける。
「……あぁ、まとめ過ぎたし、その前に一悶着あったがな。まあ、んな感じだ。……なんか、少し変なんじゃねえか。前より、あんた」
傷の男は先程の言い詰めに応戦するべく、それに対応したドスの効いた声で、相手に話しかける。
『さすがです。が、朗らかになったと言って頂きたい。それに、貴方も、昔より生意気になったんじゃないですか…………アルゴ』
ここで、アルゴといわれた男の方もため息をつく。タブレット端末型通話機器を右手に持ち、右耳に当てながら、ワックスで立っている金色の紙をクシャクシャと軽くかき、言う。
「ほっとけ。……で、なんなんだよ今回は。……いつもそっちから連絡してきても、後日話しますぅばっかだったじゃねえか。用があるならさっさと……」
『えぇ、前置きが長過ぎましたね。いいでしょう、ここからが大事な話です』
突如として、会話の先駆が相手の方に変わり、声色がより神妙な近寄り難い、キリっとした声になったと思うと、それにアルゴは、若干だが背筋を凍らせる。
『近日、私はある理由で行動を起こす予定でいます。…………そこで……、アルゴ。突拍子もない事を聞いてしまいますが、貴方は……、この言葉に聞き覚えがありますか?』
相手がより言葉を詰め、言う。
『「三人のヨハネ」、the fifth Revelation,the fifth Apocalypse.簡単にいえば、黙示録の再来』
神妙な声の男は、少しの間をもって、言い放った。
『「5度目の黙示録」、です』
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.35 )
- 日時: 2012/12/10 19:22
- 名前: 多寡ユウ (ID: rc1iwi.s)
参照1500ありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.36 )
- 日時: 2012/12/11 20:58
- 名前: ルリ朱雀& (ID: J/cl5oqb)
お久しぶりです!!
名前、変えましたよね?
たくさん更新されていて…。
アルゴも出てきてますね!!
これからも、頑張って下さい!!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.37 )
- 日時: 2012/12/12 15:10
- 名前: ウルフラム (ID: rc1iwi.s)
すみません。名前変えるつもりはなかったです……。(-。-;
私が絵を描く時と、シリアスに投稿する時は多寡ユウという名義を使って、コメディでは大金小金という名義、二次小説ではウルフラムという名義を使うと定めていたのですが、すみませんミスりました。
でもって、コメントありがとうございます!これからも宜しくおねがいします!
ps
大金小金=多寡ユウ=ウルフラム、です!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.38 )
- 日時: 2012/12/17 21:52
- 名前: ウルフラム (ID: fOW/FHMu)
午後4時12分47秒。
「はぁ……、はぁ」
集は白杖を地面に叩きつけながらも、足を運ぶ速度を一切緩めることなく、若干小走りで黄色い点字ブロックの上を歩行していた。
体越しに伝わってくる独特の振動音からして、集が今いる場所が車の走っている道路の歩行者専用脇道であるとは推測がついた。
目が見えなくなってから、その手の五感が発達したのか都会特有の、あくせくした騒音が耳に響いてくる。
それでも、コッコッと白杖を小刻みに叩く音が耳に伝わってきて、車の振動音でそれがかき乱されたらと感じていた集を一抹の安堵感が包み込む。
白杖をしっかりと握る義手の右手からは、点字ブロック特有の振動と感触が伝わってきて、集自身が歩むべき道が正しいということを示してくれている。
「まだっ、まだだ」
しかし、それでも集が目指している場所には、まだ距離がかなりあった。
ざっと言って3キロ、否、それ以上距離的には存在するかもしれない。健目な人間でも3キロの距離を移動するのに徒歩を用いると決心する人間はさしていない。にも関わらず、集は道から道へと白杖を叩きながら地道にだが、着実に足を運んでいた。
「もう一度、あの場所に。あの場所に、行かなきゃ」
集自身に確信があったわけではない。
また誰かが言っていたわけではない。
でも。
集は迷いもなく歩を進め
ただ前だけを見つめていた。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.39 )
- 日時: 2012/12/20 15:58
- 名前: ウルフラム (ID: aNM7VPh4)
午後4時15分59秒。
とある研究所の研究室にて。
この研究所と呼ぶにはあまりにも巨大すぎる縦30m横50mのスペースは、あらゆる大型の電子機器によって殆どの隙間という隙間が占め尽くされていた。
それらは全て高性能人工知能、言わばハイスペックスーパーコンピューターであり、以前にもこういう似たような機械で、LINPACKベンチマークにおいて10.51ペタフロップス(毎秒1.051京回の浮動小数点演算)、実行効率93.2%(LINPACK結果10.51PFLOPS/理論効率11.28PFLOPS)を記録し、最終構成である864筐体(CPU数88,128個)の搬入と据付を完了し、後にこれらの基本動作と設計性能を確認するために29時間28分間LINPACKベンチマーク・プログラムを走らせて計測した結果、世界で最も高速なコンピュータシステムの上位500位までを定期的にランク付けするTOP500において首位を獲得するに至ったという京という日本製のスーパーコンピューターがあるという経歴があるが、現在となっては過去の偉業となっており、近年の日本のこういった機械の操作性能とLINPACKベンチマーク・プログラムの複雑化は、米国のスーパーコンピューターであるSequia Ⅲや、中国の天河5号Eなどの40台のペタフロップスを記録するスーパーコンピューターにも引きを取らない。
というわけで、このだだっ広い研究室内に設置されているものは紛れもないアメリカ製のスーパーコンピューター、タイタンⅣが数十台。
また、水色の液体が入った水槽のすぐ前で、此方を見ながら話しているポーカーフェイスのようなピエロと、あたふたしている様子の黒髪の新米研究員。
そして、その水色の液体が入った水槽の中にいる実験体こそが。
実験体コード名、revivalsince1937
通称『inori』、である。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.40 )
- 日時: 2012/12/20 20:03
- 名前: ルリ朱雀& (ID: J/cl5oqb)
おひさしぶりです!
名前の件は勘違いしてすみません…。
inoriだとっ!!
inoriかぁ…。
ていうか、コンピューターの説明がスゴイ!!
すごすぎてわからない…!!
とりあえず、集が無事に目的地に着くことをいのります!!
では、更新頑張って下さい!!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.41 )
- 日時: 2012/12/20 22:17
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
度々のコメントありがとうございます!
いえいえ、名前の件はかきこ内の知り合いに散々言われているので、反省したつもりだったんですが、たまにこういうミスが出てしまうのです……(T ^ T)
コンピューターは、図書館の資料をまとめて適当に書いた奴ですから、俺もあんまりわかりません(笑)
一応、資料抜粋なんであってると思いますが……(‾◇‾;)
最後に、参照2000ありがとうございます!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.42 )
- 日時: 2012/12/26 22:08
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
午後4時17分29秒。
ハイテク化され、高速で走れるように改良された車椅子をツグミにやや強の強さで押されながら、篠宮綾瀬は自宅である海辺に接する高さ40階建ての高層マンションの前まで来ていた。所々の窓にはほんのりと明かりが灯っているが、辺りはまだ暗くなるにはじばし早く、少女達が連れ立って歩いていても申し分無い時間だった。
「ふーーーっ。……少しかかっちゃったね、時間。」
ツグミは自分の両手が握っている車椅子の取っ手から一度右手だけを放し、光沢のある長い黒髪のセットが壊れていないかどうか軽く指と指でクルクルとチェックしながら、上目で言った。
「うん」
それに綾瀬も微笑を浮かべながら端的に答える。しかし、その瞳はツグミを合わせてはおらず、眩しい西日で軽く照らされたアスファルトを静かに目視し、その顔はどこか物憂しげな、寂しそうな表情をしていたが、隣で髪のチェックをしているツグミには気付かれていない。
その事に綾瀬は一抹の安堵感を感じ、軽く溜息をつくが、表情は以前として、回復することはない。
「部屋、上がろっか……!綾姉ぇっ!」
髪のチェックが終わったのか、艶やかな黒髪をまたびかせて綾瀬の顔を覗き込ませている、笑顔のツグミが言う。
「そう、ね……」
綾瀬の視界殆どが、可愛らしい黒髪の丸顔で覆われ、一度目を丸くしたが、一枚咀嚼されることはなく、またもや両頬を微すかに横に引っ張りながら短く、答えただけだった。
ただそれでも、ツグミにとって綾瀬の今の心情を窺うのには、余りにも充分過ぎる程に、明白だった。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.43 )
- 日時: 2013/01/08 07:16
- 名前: ウルフラム (ID: rc1iwi.s)
「開けるよぉ」
ツグミが右手で握っていた電子ロック式のドアの鍵に、青い光沢のあるIDカードを横に差し込む。
途端に電子ロック特有のウィーンという機械音と同時に扉のロックが外される。
ツグミはそれに合わせるように右手のみで扉を開け、左手で綾瀬の車椅子を器用に部屋に入るように押す。全てが終わってからのここ四、五年の機械の発展と成長は凄まじく、女性が車椅子を軽く押すだけでそれ以上の力で押すことができるようになっている。
扉を開け、綾瀬の部屋に入ると、パッとした白を基調とした全体的に広々としたスペースの他、綾瀬本人が生活しやすいように段差はまるでない部屋がツグミの目に入る。
ツグミは玄関で一悶着した後、綾瀬の車椅子をベランダのある大窓の近くまで持っていき、窓の前でひと伸びする。
「ぅう〜んっ!!!…………はぁ…………、今日、ムチャクチャ楽しかったっ!!そう思わない、綾姉ぇ?」
ツグミが綾瀬に話かけるが、それでも尚、どこか寂しげな表情を崩すことなく、綾瀬が俯きながら言う。
「うん、そうね。楽しかった」
「…………」
「…………」
「はぁ」と意味あり気な溜息を軽くついた後、ツグミは窓の外に浮かぶ平和な、本当に穏やかな東京の夜景の街並みをみながら、淡々と、独り言のように、綾瀬に語りかけた。
「あたし達はさ……。ハレのこと、集や八尋や颯太や花音より、よくは知らないんじゃん?
……なんていうか、あたし達が思っていたハレのいる場所と、集達が思っているハレのいる場所には、埋められない、どうしようもないくらいの境目があった。
ほら、葬儀社の面子って、アンときはあんまり集の友達がどう、って思わなかったからさ。
だからあたしは。いや、あたし達は……。前に集が本当の『王様』になって、自分の感情を押し殺して、罪の王冠を無理矢理に被っていた理由が……、あたし達には理解出来なかった。
……みんなが分からなかったっていうのは、勝手な憶測なんだけどね…………。それでも、自分の心を傷つけて、独裁者の殻に籠もって、……悪役になってまで、守りたいものって、一体なんだろって。
……自分が涙を流しても、やらなくちゃいけないことって……。
でも……、それが今日、少しだけ分かった気がする。ハレの為に、たった1人の「友達」の為に、罪の王冠を手にした集の気持ちが、さ。少しだけ、分かった。」
「集を見てたら、感じてあげていたら、想ってあげていたら、もう少し前にちゃんと、集の気持ちがわかったのにね…………………………。」
……………
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.44 )
- 日時: 2013/01/07 18:30
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
「なのに……、あん時はみんな、自分達のことだけに一生懸命でさ。
……ちゃんと、王様を見ていなかった。集を、見てあげれてなかった。友達なのに、集が泣いているのに……。それに気づいてさえあげられなかった。
………『大丈夫』って、優しい言葉さえ、かけて、あげられなかった。
本当に、ハレの為にも、一生懸命みんなを救おうと頑張ってたのは、集だったのに。あたし達は、そんな集から距離を境目を自分からつくっちゃったんだよ。
でもね、……………………それでも、あたし達が集を拒絶すらしてても。いのりんは、さ。ずっとずっと、集を見てたんだ。
優しい集も、王様の集も、泣いた時の、弱虫の集も、全部、ね。」
ツグミはそう言うと、窓の夜景に向いていた自分の体を綾瀬のいる方に反転させ、今まで窓を向いていたせいでわからなかった涙を、両目に微かに光らせながら、綾瀬に言う。
「だから、あたしにもわからせて欲しい…………。いのりんが、集を想っていたみたいに、綾姉を……。
今日、初めて集も一緒になって、みんな揃って、ハレのお墓に行けたんだよ……?みんな一緒に。
……それなのに、なんで綾姉は、さみしそうな顔をするの?……何か、困ったことがあったら、あたしにも言って!あたしにも、わからせてよ……!!
あたしだって…………!綾姉が不安そうな顔してたら、いのりんみたいに、綾姉を励ましたいっ!
大丈夫だよって、心配しないでって…………綾姉ぇに………………」
先が出てこない。
聞こえるのは、綾瀬の部屋中に響き渡る微かな、けれど想いの籠もった床を見て俯いている一人のツグミの喘ぎ声のみだった。
そんな少女の泣きっ面を初めて間近に見た綾瀬は、刹那ではあるがツグミを凝視し驚愕していた。
しかし、すぐに彼女の表情は何事もなかったかのように、いつも通りの、ほわんとした微笑みを浮かべている篠宮綾瀬の表情に戻っていた。
全てを暖かく包み込み、その後ろで決して自らの足の械を外すことない篠宮綾瀬に。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.45 )
- 日時: 2013/01/25 22:05
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
参照2500突破ありがとうございます!部活の合間を縫いながらちょくちょく進めていきたいと思います!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.46 )
- 日時: 2013/02/15 22:09
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
めちゃ久の本編、更新です!アルゴ回最終かもです。
本編。
午後4時28分47秒。
「詳しい事は後日連絡します。今の現状はまだ待機していてください。これから、葬儀社の面々との音信を回復しなければいけないので。それではアルゴ、また」
通話先からあの妙に重々しい声がこちらに再度届いたと同時に、アルゴはボーッとしていた頭を働き起こし、最低限必要な日本語での呼応を行う。
「…………そうだな。あぁ、また」
アルゴはタブレット型通話機器を耳から放し、通話終了という赤く点滅した3D上のアイコンディスプレイ表示をさりげない動作でクリックする。
アルゴが通話終了を押すと画面は瞬時にコバルトブルーの通話終了画面へと切り替わり、先程の通話時間と通話料という情報がアルゴのタブレット端末に映しだされた。
通話時間、26分8秒。アルゴの葬儀社での上司であった者からの通話にしては、随分と長い間喋っていたと言えるに等しいものであった。今となっては、葬儀社の面子がどうこうというような連絡はほぼ皆無であり、仕事先やお得意先との連絡が大半を占め、唯一途切れなかったのが先程まで連絡していた四分儀のみという風な状況であった。
アルゴは一度、三十分程前までいた社長室を静かに覗き込み、未だに社長席に座り、怒り心頭の様子でちまちまと自分の金メッキに輝く腕時計で時間を確認している女社長の姿を目だけで目視すると怖気づいたのか、はたまた安心したのか、一瞬どうにもならないような溜息をつき、社長室の前から遠ざかり、そのまま自分の主としているデスクに戻った。
アルゴのデスクには契約先やら何やらの紙束がドサッと大量に乗っかており、全てを済ますのには少なく見積もっても残業して終わるか、という程であった。
しかし、アルゴはその膨大な紙束には目もくれず、そそくさと自分のデスクの前に立ちながら必需品だけを順に手に取り、まだ黒光りしている皮バックの中に不器用に詰め込んだ。
「おいおい、どうしたんだ。お前の仕事、片付いたのか?そういう様には全く見えないんだが」
そうこうしていると、アルゴと席を隣にする上司がアルゴに向かって若干苛立ち気味に尋ねてきた。しかし、アルゴは肝心の上司などそっちのけで黙々と自分の荷物を詰めている。やっと声を発したのは、アルゴが完全に荷物を詰め終えたときで、上司が発言してから十秒程も経過していた。
「すみません、急用ができまして。今日の8時までには、必ず戻りますんで」
アルゴはそれだけ言うと、黒光りする皮バックを肩にかけ、業務用エレベーターまで向かって行った。
その背中に上司は、「あ、ああ……」という肯定を示すことしかできなかった。否、させなかったのだ。彼、アルゴ自身が。
アルゴは誰も居ない西日に照らされたエレベーター前まで来ると、呟く様に、そして
「っ……、久々に、ホラ吹いちまった……」
悔やむ様な言葉を残し、最後となるかもしれない職場に一瞬だけ目をやる。
職場では、未来永劫変わらぬ忙しい日常が、鮮やかに映し出されている様に、アルゴには思えた。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.47 )
- 日時: 2013/02/19 23:32
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
参照3000ありがとうございます!!これからもどうぞ、よろしくおねがいします!!更新速度は、のろまではありますが・・
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.48 )
- 日時: 2013/02/23 17:22
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
午後4時45分31秒
あれからどれくらいの時間が経過したろうか。
西日の強過ぎるくらいの光の強射により、硬い黒色のアスファルトが盛んに光り輝き、その西日に照らされた無数の砂埃と黒煙の中、そのいてつく様な美しく悲しい光景を見ることも出来ない集がアスファルトに白杖を細かな刻みを入れながら位置確認をしてきて、流石に駆け足でここまで移動するのはかなりの重運働だったと言わざるを得ない。
ほんの一歩でも確信が無ければ踏み出すことの出来ない両足が迷いなく動いてくれるのには様々な想いが詰まっている証拠であるのと同時に、確かな確信が集に取り付いているからだったが、今この状況、この光景を目で見ることのできない集にとって、迷いなく進むという行動を選択するのは至極難関であり、不可能であった。
その理由さえ、案外シンプル極まりないモノだったりする訳で、つまりは巨大なある程度の高さは保持しているビルを丸ごと全て飲み込む程の、
巨大過ぎる、大爆発であった。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.49 )
- 日時: 2013/03/29 14:54
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
3500参照ありがとうございます!
学生生活との兼ね合いも上手くやって書いていきたいと思うので、これからもどうぞよろしくお願いします!
それでは更新をさせていただきますので、よかったらお願いします。
以下本編
午後4時50分52秒
幾万もの人々が目を疑ったそれは余りに突然に起きたと同時に、耳に、また各々の人々に刹那にして焼き付けられた。
そしてそれは彼ら人々によって無茶苦茶に再構成され、爆発という事実から、悲劇という状況
へと変換され、ついには
人々の認識は「珍しい産物」という現象に、最終的な着陸地を見つける。
「何アレ?爆発かなんか?」
「火事、じゃね?……ちょっと俺写メ撮ってくる」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「あっちの方だね、ちょっと見てかない?」
「いいね、オッケー……タブレット、タブレットと……」
「あとででいいじゃん、そんなの、サツ来たら面倒だよ?」
「あ、そっか。じゃ、行こ行こ!」
「スゲー火だな、観て行かないか、カヤ?」
「えっ、でも……、危ないよ。あのビル、倒れそうだよ、ねぇ」
「大丈夫だって、心配ない心配ない」
「うん、いやでも……、」
「いいから、行くぞほら!」
「あ、待ってって!?」
人々はほんの数年前の革命よりも、今ある状況の希少さに釣られ幾千、幾万もの人々が爆破炎上した高層ビルを取り囲む様に集まり介し、一斉に空高くを見上げ、殆どの人々がタブレット端末片手に写真、動画を撮り、物珍しそうな目をしながらじっと見つめていた。